[III-P6-8-02] Swing back法による大動脈弓再建手術を行った4症例
Keywords:Swing back法, 大動脈弓再建術, 動脈スイッチ手術
【背景】Swing back法は大動脈縮窄/離断症を伴う大血管転位症やTaussig-Bing奇形の動脈スイッチ手術において、肺動脈と上行大動脈に口径差がある場合に用いられる大動脈弓再建法である。ねじれを作らず大血管の口径差解消が可能で、動脈管組織の十分な切除やパッチ拡張が不要などの利点がある。【目的】動脈間に口径差のある大動脈縮窄/離断症を伴う大血管転位症やTaussig-Bing奇形に対して、Swing back法の有用性を検討すること。【方法】2014年11月から2021年12月までにSwing back法による大動脈弓再建術を行った4症例を対象に人工心肺時間、遮断時間、死亡率、合併症、吻合部狭窄、大動脈弁逆流、再手術の有無を後方視的に検討した。【結果】対象は男児3例、女児1例であり、心内修復術時生後3か月が3例、4か月が1例だった。診断は大動脈縮窄症が2例、大動脈離断症が2例で、大血管転位症は2例で大血管は前後関係、Taussig-Bing奇形は2例で大血管はside by sideだった。全症例、両側肺動脈絞扼術後で、共通術式はSwing back法よる大動脈弓再建術、動脈スイッチ手術、心内修復術だった。同時手術として2例で肺動脈形成術を、2例で右室流出路狭窄解除術を行った。術前平均上行大動脈径は7.45±0.31mm、平均肺動脈径は17.25±2.30mm、平均口径差は9.8±2.24mmであり、大動脈弁閉鎖不全症は認めなかった。平均観察期間は42.5±37.0か月、平均人工心肺時間は446.5±60.75分、平均遮断時間は208.8±0.5分だった。手術死亡、遠隔期死亡なく、1例で術後不整脈、1例で横隔神経麻痺、2例で左反回神経麻痺を認めた。平均吻合部血流速度は1.73±0.801 m/sであり、大動脈弁閉鎖不全症は3例でtrival、1例で認めなかった。術後遠隔期に1例で右室流出路狭窄解除術を行った。【結論】Swing back法により、大動脈に対する再手術もなく遠隔期成績も良好だった。Swing back法はある一定の症例に対して有用であることが示唆された。