[III-P6-8-03] 大動脈縮窄症手術後に気管支変形を来す因子
Keywords:大動脈縮窄症, 手術, 気管支
【目的】大動脈縮窄症(CoA)修復術後の呼吸器合併症の原因として、多くは偏位した大動脈による気管支狭窄が原因と考えられてきた。しかし、CT検査で気管支形態を3Dモデリングすると気管支は狭窄のみならず、全体の変形が確認される。そのため、呼吸器合併症発生には全体の形態変化の関与もが考えられる。今回我々はCoA修復術が気管支狭窄および形態に及ぼす影響を調べることとした。【方法】2017年4月~2021年10月にCoA修復術を施行した15例を対象とした。15例中、術後CT検査の施行された8例の比較検討を行った。比較方法として画像解析ソフトを用いて3Dモデル作成と狭窄および形態変化指標として気管支狭窄率(BR)および気管支変形角(BA)、そのリスク因子として切断後下行大動脈と吻合部までの距離(AD)、術前後の大動脈弓と気管支距離変化(ABD)、気管支と下行大動脈の距離変化(DBD)、大動脈弓部角変化(AA)の各指標の計測を行い、修復術前後の大動脈形態、気管支形態、呼吸器合併症の関連性を検証した。【結果】8例は全て人工心肺下に一期的修復を行った。AD 14.6±3.3mmであり、ABD 2.83±2.1mm、DBD 0.188±1.0mm、AA 10.8±12.6度、BA 22.0±13.5度、BR 23±31.7%であった。ADとBR、AAとBRに弱い相関関係を認めたが、BAやBRに対する寄与率を示すことはできなかった。人工呼吸器使用時間(MVT)は96.8±27.1時間、術後有意な呼吸器合併症を認めず。MVTとBA,BRに相関関係は認めなかった。【結語】全症例でCoA修復術により気管支の狭窄または変形が起こることが確認された。気管支狭窄に与える影響としてAAとADが関与する可能性があったが、形態変化への関与は確認されなかった。また全例で有意な呼吸器合併症を認めなかったため、気管支形態変化の程度によるリスクを検討できなかった。しかし、これらの因子が潜在的合併症を示唆する指標として成長に伴い継続的に観察していく必要性があると思われる。