[III-P6-8-04] CoA, IAA complexに対する術前リスク評価と術式選択の妥当性の検討
Keywords:大動脈縮窄, 大動脈弓離断, 周術期
【目的】大動脈縮窄(CoA)および大動脈弓離断(IAA)は、多くの場合心内合併病変を伴う。これら疾患に対する治療方針として一期的心内修復術か二期的心内修復術を行うかの明確な基準はなく、各施設によって方針は異なっている。今回、当施設でのCoA, IAA complex症例に対して術前状態をリスク評価し、ICU滞在日数と術後尿量をもとに術式選択の妥当性を後方視的に検討した。【方法】症例は2013年1月から2021年12月までの9年間に当院で手術を施行したCoA, IAA complexの患者82例。これら患者を初回手術として一期的心内修復術を施行した群(group A)と大動脈弓形成+主肺動脈絞扼術を施行した群(group B)、両側肺動脈絞扼術を施行した群(group C)の3群に分け、それぞれの群で術前の日齢、体重、Cre値をリスク因子とし術後尿量とICU滞在日数を比較した。【結果】group Aは46例、group Bは11例、group Cは23例であった。心内修復後に大動脈弓形成を施行した2例は除外。各群の術前測定値を比較するとgroup Cはgroup Aと比較し術前体重が有意に小さく(2.7 vs 2.8, p<0.05)、術前Creが有意に高値(0.76 vs 0.46, p<0.05)であった。人工心肺を使用したgroup A,Bについて検討した。術前測定値は術後尿量に影響しなかったが、ICU滞在日数は日齢およびCre値がリスクとなる傾向があった。(日齢 11 vs 6, p<0.027), (術前Cre値0.41 vs 0.59, p=0.059) 【考察】我々の施設の方針として、低体重児やDuctal shock後の症例、重症心内奇形合併例などでは二期的心内修復術を選択している。今回の検討では高リスク例でmPABが選択されている傾向があり、術後経過も問題なく術式選択の妥当性が伺えた。初回手術として人工心肺を使用した群では、術前Creが高い例、早期手術例ではICU退室に時間を要している傾向があり、術式選択の更なる検討が必要と思われた。