[III-SY20-02] 新生児TOFに対するバルーン肺動脈弁形成術の適応と有効性
Keywords:ファロー四徴, バルーン肺動脈弁形成術, transannular patch
【はじめに】TOFでは長期予後の観点から, 心内修復術(ICR)時に肺動脈弁(PAV)閉鎖不全を軽減することが重要視されておりtrans annular patch(TAP)を用いた修復の低減に向けた新生児期からの管理が望まれる. 【目的】新生児-乳児期早期の経皮的肺動脈弁バルーン形成術(PTPV)の効果と適応についての考察. 【対象・方法】2006年以降のTOF(含むTOF type DORV)のうちICRを終えた84例. PTPV施行75例(V群)と, 心外疾患等の要因でPTPV非施行の9例(N群)に分類しNakata PA index (PAI), 肺動脈弁輪径のSD score (P-SD), BTS/TAPの要否,及びV群の施行時期,方法,TAP例と非TAP例の違いについて後方視的に検討した.【結果】検討1)2群間で初診時のPAI,P-SDに差なし. ICR前PAIはV群でやや大きく(318 vs 216, p=0.036), P-SDは有意に大 (-1.19 vs -2.91). PAIは両群で増加もV群(153 vs 316)のみ有意差あり, P-SDはN群は変化なし(-2.69 vs -2.99)に対しV群は有意に拡大(-2.12 vs -1.19). V群はICR前のBTS(P=0.0065), TAP(p=0.014)ともN群より有意に少なかった.検討2)V群のPTPV施行は日齢1-125(med. 25), 体重2.3-5.9(med. 3.3)kg, BalloonはPAV径の106-138(med. 121)%, 種類は弁用4例(TMP-PED), PTA用71例 (Mustang 4,Elite 7,Sasuga 7, Synergy 7, Sterling 46), 全例用手拡張. ICR前PRは0-1度68例,2度6例,3度1例. TAP19例と非TAP 56例でballoon%(121 vs 124)には差がなく, 初診時P-SDがTAP例で有意に(-1.74 vs -3.22)小. 初診時PAV径が4.9mm以下の半数がBTSを要し,PAV径, P-SDが4.7mm or -3.1未満では全例TAPを要した.【考察】V群ではBTSが少ないにも関わらずN群よりPAIの発育が良く,かつPAV径の発育は明らかに良好でTAPが有効に回避できた. 初診時PAV径が4.7mm以下,-3.1SD以下ではV群でも弁輪温存が難しいと考えられRVOTステント考慮の余地があるが, これ以上の例ではPTPVが特に有効と考えられた.