[I-CSY02-02] 生涯医療保健の中での学校心臓検診:第二次5ヵ年計画、第二次基本計画後の課題
キーワード:学校心臓検診, 心臓性突然死, 社会医学
日本の学校心臓検診は、学校保健法(現在の学校保健安全法)施行規則の改定により、1995 年から現在の小中高校 1 年生全員に心電図を含む心臓検診が開始された。その後の指針の整備の後に、2016 年の学校心臓検診のガイドライン(日本循環器学会、日本小児循環器学会合同)が発表された。現在の学校心臓検診の目的は、小児心疾患の早期発見と管理指導、心臓性突然死の予防が挙げられ、QT延長症候群、心筋疾患、肺動脈性肺高血圧等の個々の疾患の早期発見とAEDを用いた蘇生の効果が報告された。しかし、本邦において心電図の判読の標準化、均てん化、進学・転校に伴う心電図の受け渡し、高校卒業後の心電図の保存、心電図判読の効率化、全国レベルの検診データの利活用の限界が課題とされてきた。 脳卒中循環器病対策基本法、成育基本法の施行後、脳卒中と循環器病克服第二次5ヵ年計画後に、学校健診に関するデータベース構築、管理による研究、PHR(Personal Health Record)の活用、生活習慣病予防、家族性高コレステロール血症への早期介入の観点からも学校心臓検診と食育・健康教育、突然死防止の蘇生教育が明記された。学校検診システムについては、学校心臓検診が紙ベースである地域も多く、そのデジタル化が課題である。また現在、経済産業省、厚生労働省、文部科学省で始まっているマイナポータルを用いたPersonal Health Record(PHR)のライフステージデータとして一元的管理による生涯医療保健との連携、デジタルデータのICT・人工知能の応用、PDCAサイクルに基づく取り組みが、検診の質の向上、地域での標準化、均てん化、効率化につながることが期待される。 循環器病に関わる第二次5ヵ年計画、第二次基本計画後において、生涯医療保健の中での学校心臓検診のあり方は、これからの重要な課題と考えられた。