第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

委員会企画シンポジウム

委員会企画シンポジウム1(I-CSY01)
医師の働き方改革~順調に進んでいるのか?~

2023年7月6日(木) 15:10 〜 16:10 第1会場 (G3)

座長:佐藤 誠一(沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 小児循環器内科), 座長:岩本 眞理(済生会横浜市東部病院総合小児科)
共催:日本医師会

[I-CSY1-03] A水準に決定した地域中核病院の働き方改革

岩本 眞理 (済生会横浜市東部病院 総合小児科)

キーワード:地域中核病院, 医師の時間外上限A水準, フレックスタイム制

【背景】 2019年の労働基本法改訂により、時間外労働時間の上限が設けられ、医師においては2024年4月の法規制実施まで残りわずかとなった。医師の時間外労働上限はA水準(年960時間)、B水準(救急医療・地域医療確保暫定特例:年1860時間)、C水準(集中的技能向上水準:年1860時間)が設けられた。厚労省は、将来2035年度末を目途に暫定特例水準(B水準)を解消し、A水準とC水準だけ残し、C水準の時間外上限も縮減方向を目指している。【目的】済生会横浜市東部病院は、地域中核病院として横浜市東部地区の地域医療を担っている。病院としてすべての科でA水準の施行を決定した。月100時間越えの時間外労働の医師が多数存在する中、その実現は困難で到達不可能とさえ考えられた。医師の時間外労働時間の短縮に向けた地域中核病院の取り組みについて紹介する。【A水準を目指した取り組み】はじめに医師の時間外労働の現状把握のため労務管理の整備から行なった。タイムカード導入による出退勤記録、時間外在院時間のうち労働時間の申請と部長による確認を義務付けた。すべての科において基準超え(月80時間以上)の時間外労働医師と時間外労働時間を部長に呈示した。救急科・外科系・循環器内科で過剰な時間外労働医師が多数存在した。それぞれの要因を分析して、解決法を模索した。人員補充・タスクシフト・会議や勉強会の勤務時間内開催などの対策で、ある程度時間外労働時間短縮は実現した。しかし救急や当直の多い科では、それだけで規定内におさめることに限界があった。院内に働き方改革WGを設置し、医師はフレックスタイム制の労働を基本とし、時間外労働の定義(自己研鑽との区別)を明確にした。この政策により大きく改善した。今後の課題として、医療の質の担保・さまざまな働き方等の対応が必要である。