[I-OR06-05] Filaminopathyの男児2例における遺伝子型と表現型
Keywords:FLNA, 孤立性心臓弁膜症, Klinefelter症候群
【緒言】Filaminファミリーはアクチン結合蛋白の一つで細胞の移動やシグナル伝達・翻訳に関与している。Filamin A (FLNA)は発生段階でユビキタスに強く発現し多臓器の表現型に関与する。Y字型をした240-280kDaのポリペプチド鎖であり、N末端からRod1とRod2の二つの主なdomainが結合し、それらがホモまたはヘテロダイマーとして細胞膜に結合し細胞質内へ発現している。Calpainにより切断されC末端のFLNAは様々な転写因子と結合して転写をコントロールし、主に中枢神経・骨格筋、心血管系、呼吸器系、血液系の疾患に関与している。【症例1】18歳男児。身長166㎝、体重45㎏、BMI=16.3。前胸部痛があり当院受診し、中等度の大動脈弁逆流、側弯、左冠尖瘤に気づかれたため、Marfan症候群類縁疾患を疑われ、遺伝学的検査を施行した。その結果、FLNA, c.4021-4023. delins. CCC>ACA, c. Pro1341Thr (in Rod1)を認めた。ACEI内服中。【症例2】1歳0か月男児。筋緊張軽度低下、成長発達遅滞、喉頭軟化症、皮膚過伸展などから遺伝学的精査を施行され、47XXYおよびFLNA, c7094del, p. Gly2365Glu fs Ter29 (in Rod2))であることが判明。現状、上行大動脈の著名な拡大傾向および頭部MRIにて脳室周囲結節状異所性灰白質(PVNH)を認めている。【まとめ】FLNA異常はX連鎖性遺伝形式であり、男性の場合は胎生/新生児致死であるとされていたが、1例目のようにPVNHなどの中枢神経所見を伴わない孤立性心臓弁膜症の男性例が報告されている。2例目はKlinefelter症候群のためにX染色体不活性化を逃れ表現型が緩和している可能性が報告されている。ただし、現時点では、両症例共に新規VUSであり機能解析はされていない。