[I-OR08-02] ファロー四徴術後における右室自由壁の運動パターンがTAPSEに与える影響
キーワード:ファロー四徴, TAPSE, 右室機能
【背景】ファロー四徴術後(rTOF)患者では右室駆出率(RVEF)が正常でもTAPSEが低下していることがある.また,正常心と違い心尖部が右室自由壁(RVFW)方向に収縮する症例が散見される.RVFWの収縮様式がTAPSEに与える影響についてこれまでに詳細な検討はされていない.【目的】1.rTOFにおいてRVFWの収縮が向かう点をnull point(NP)とし, ASD未修復患者と比較しRVFW上のNPの位置と収縮パターンの違いを明らかにすること.2.NPの位置に関連する血行動態指標,及びTAPSEに与える影響とRVEFに関連する指標を明らかにすること.【方法】対象はT群;心臓MRI(CMR)を撮像したrTOF53例60セッション(年齢(中央値):17.2歳),A 群;ASD未修復患者64例(12.5歳).1.CMRのFeature tracking(FT)でRVFW上のNPを同定し,三尖弁輪からNPまでの距離とRVFWの全長との比をNP ratio(NPR)とした.2D-speckle tracking(2D-STE: Auto strain RV; Tom Tec)において,RVFWを三分割したストレインを解析.2.CMR解析(Cvi 42;Circle)によるRVEDVI(ml/m2, RVEF(%)), RVFWSL(%),および経胸壁心臓超音波で計測したTAPSE/BSA(mm/m2), FAC(%),2D-STEによるRVFWSL,RV4CSL(%)とNPRの相関関係を解析.TAPSE/BSAのZ-scoreについて重回帰分析を行なった.【結果】1.NPRはT群で有意に小さかった(T;0.53,A;0.85.p<0.001).A群では88%で基部のストレインが最も大きかったが,T群では52%で心尖のストレインが最も大きかった (p<0.001).2.T群においてNPRはTAPSE/BSAと正相関を認めた(r=0.64,p<0.001)が,EF,FAC,RVEDVI,ストレインとの関連はなく,EFと相関する指標はFACのみだった(r=0.36, p=0.006).重回帰分析では術後経過年数(B;0.21,95%CI;0.10-0.32,p<0.001)とNPR (B;7.95, 95%CI;4.15-11.7,p<0.001) がTAPSE/BSAに影響を与える因子だった.【結論】rTOFでは三尖弁輪からNPが近づくことでTAPSEを過小評価していることが示唆された.FACがEFに最も関連する指標だった.