[I-OR08-04] mDIXON法を用いた冠動脈MR angiographyの冠動脈壁石灰化検出能の検証
キーワード:川崎病, 冠動脈MR angiography (MRCA), mDIXON法
【背景】心臓MRIは無被曝の検査であり、長期にわたる川崎病冠動脈障害の経過観察において、繰り返し施行可能である。冠動脈MRA(MRCA)では内腔評価は可能だが、血管外壁の石灰化の評価は困難であった。mDIXON法を用いたMRCAは脂肪抑制法を応用した撮像法であり、chemical shift imageのin-phase(IP)画像は冠動脈壁と周囲脂肪のコントラストにより、壁の石灰化が信号欠損Signal void(SV)として描出される。mDIXON法を併用したMRCAを施行し、CTの冠動脈石灰化と比較し、mDIXON法による冠動脈壁石灰化検出能を検証する。【方法】2021年3月から2023年1月の期間で川崎病冠動脈障害評価目的に3テスラMRI(Philips Ingenia Elition3.0T)を用いてmDIXON法を併用したMRCAが施行された全66症例のうちCTと対比が可能であった38症例を対象とした。CTでの石灰化の有無をGold Standardとして冠動脈を4部位(右冠動脈RCA、左冠動脈主幹部LMT、前下行枝LAD、回旋枝LCX)に分け、IP画像におけるSVの有無を評価。SVの観察可能な冠動脈カルシウムスコアCaSのカットオフ値を算出した。【結果】対象患者群は男女比28:10、年齢中央値32歳でMRCAとCTの検査間期間の平均は約5年であった。IP画像における石灰化検出の偽陽性率は21~31%、偽陰性率は0~8%であった。SV陽性となるCaSのカットオフ値はRCAで1(感度74%、特異度100%、AUC0.87)、LMTで86(感度50%、特異度100%、AUC0.73)、LADで23(感度61%、特異度75%、AUC0.57)、LCXで17(感度50%、特異度99%、AUC0.73)であった。【考察】mDIXON法を用いたMRIでの冠動脈石灰化の検出は、感度はやや低いが、特異度は高かった。偽陽性や偽陰性はMRI特有のアーチファクトが影響している可能性があり、更なる検討が必要である。【結論】mDIXON法を用いたMRCAでは川崎病冠動脈障害における冠動脈石灰化のスクリーニングに有用である。