[I-OR09-04] 当院におけるACHD症例の成人移行の実態
キーワード:ACHD, 成人移行, トレーニング
【目的】当院におけるACHD症例の成人移行の実態を明らかにすること【対象と方法】対象は、2019年から2021年にかけて当科に受診された18歳以上の循環器内科患者472人で、診療録から成人施設への移行の有無などに関する情報を抽出【結果】成人施設への移行が完了もしくは成人施設の選定が決定した症例は286例(61%)、終診に至った症例70例(15%)、成人施設への移行先が未決定の116例(24%)であった。成人施設への移行が完了もしくは選定が決定した286例のうち、移行先が大学病院もしくはACHD施設となったのは102例、総合病院142例、開業医12例であった。成人施設への移行先が未決定の116例の心疾患の内訳は、フォンタン術後もしくはグレン術後79例のうち23例(29%)、成人先天性心疾患診療ガイドライン(2017 年改訂版)で中等症ないし重症(複雑)に該当する130例のうち34例(26%)、軽症(単純)に該当する175例のうち32例(18%)、非CHD症例82例のうち24例(29%)と単心室循環症例を含むいわゆる重症CHD例で、より移行先が決定出来ていない傾向を認めた。また大学病院もしくはACHD施設への移行が決定した102例のうち、神奈川県内の施設への紹介例が41例(40%)で、残りの60%は県外の施設へ紹介例であった。フォンタン術後もしくはグレン術後や中等症ないし重症(複雑)の症例が大半であった。【考察と結語】他の基礎疾患の合併例の場合には、さらに移行先の確保に難渋することが多い。また県内の施設での受け入れ人数には限りがあり、県外の施設に頼らざる得ない状況にある。重症CHD例の救命率は、改善されてきており、スムーズな移行に向けて、関係医療機関と症例検討会やACHD患者管理に関するトレーニングなどを予定している。