第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

QT延長症候群・ブルガタ症候群

一般口演(I-OR12)
QT延長症候群・ブルガタ症候群

2023年7月6日(木) 14:30 〜 15:40 第7会場 (G314+315)

座長:鈴木 博(新潟大学医歯学総合病院), 座長:馬場 礼三(中部大学 生命健康科学部)

[I-OR12-07] 乳児期からのWPW症候群でフレカイニド内服通院加療中にBrugada波形を認めた7歳男児の1例

永松 優一, 渡邉 友博, 下津 陽平, 中村 虹輝, 中村 蓉子, 渡部 誠一 (土浦協同病院 小児科)

キーワード:WPW症候群, Brugada症候群, フレカイニド

【背景】WPW症候群とBrugada症候群の合併はまれである。今回、乳児期からのWPW症候群に対してフレカイニド内服加療通院中にBrugada波形を認めた1例を経験したので報告する。【現病歴】症例は7歳の男児。失神歴および突然死の家族歴はなし。生後4か月時に健診で頻脈を指摘され、発作性上室性頻拍(PSVT)と診断された。フォロー中にホルター心電図でデルタ波を認め、間欠性WPW症候群と診断した。プロプラノロールで加療を開始したが発作コントロールは不良であり、フレカイニドを追加した。血中濃度をモニタリングしてコントロールし、徐々にPSVTの発作頻度は減少し、3歳以降は発作なく経過した。加療中に2度低血糖エピソードを認めたため、2歳時にプロプラノロールは終了してフレカイニド単剤でコントロールをおこなっていた。5歳の定期外来の安静心電図でBrugada波形を認めた。血液検査や心臓エコー検査で異常を認めず、フレカイニドの血中濃度の上昇も認めなかった。フレカイニドの影響を考え、内服薬をベラパミルへと変更し、平常時の心電図のBrugada波形は消失した。その後も発熱時などにBrugada波形を認めてはいるが、現在まで失神などのエピソードは認めていない。【考察】WPW症候群とBrugada症候群の合併例の報告は成人においても稀である。Brugada症候群はⅠa群およびⅠc群のNaチャネル遮断薬が薬剤負荷試験として用いられる。今回、フレカイニド中止により心電図変化が改善されたことからⅠc群のフレカイニドの内服によりBrugada波形を呈したと考えられる。