[I-OR13-05] カテーテルアブレーション後に心停止を伴う肺塞栓症を発症した1例
キーワード:肺塞栓症, カテーテルアブレーション, 発作性上室頻拍
【緒言】カテーテルアブレーション(以下RFCA)治療は、発作性上室頻拍(SVT)に対して有効性が高い。RFCA後の急性期合併症において、肺塞栓症は非常に稀であるが致命的である。また早い段階での肺塞栓症の症状は、非典型的である場合が多く注意深い観察が必要である。原因としては深部静脈血栓(以下DVT)が挙げられるが、その誘因は多岐に渡る。本症例は治療前より低用量ピルの内服を継続していたことが入院時に判明し、塞栓の誘因と考えられた。今回RFCA治療後に肺塞栓症を発症した1例を経験したので報告する。【症例】17歳女性、家族歴、既往歴に特記すべき事項なし。動悸を主訴に近医より紹介。9歳頃より突然の動悸を自覚するようになり、17歳時に前医で心臓電気生理学的検査(EPS)を行ない房室回帰性頻拍(AVRT)と診断された。三尖弁輪の7時方向に存在する副伝導路に対してアブレーションを実施した。その後2ヶ月後より動悸発作を自覚するようになり再燃と判断、発作が頻回となり再セッション希望で当科入院した。入院前には休薬せず低用量ピルを毎日服用していたことを確認していた。EPSでは心房最早期部位が三尖弁輪7時方向にあり通電。通電後、IPS、ATP負荷で頻拍発作が誘発されないことを確認し手技を終了とし、翌日退院とした。退院7日目頃より呼吸苦症状を自覚、近医での心電図検査では異常はなかった。その後も呼吸苦症状が持続し、退院15日目に当院受診を指示し、来院直前に心肺停止状態となり、母親によるbystander CPRが即座に開始され他院に搬送された。造影CT検査で両肺塞栓症と診断、同時に右鼠経穿刺部に壁在血栓を認めた。【結語】RFCA治療後に発症した肺塞栓症の誘因が低用量ピルと考えられた症例を経験した。低用量ピルは手術のみならず、RFCAのようなカテーテル治療の際にも休薬すべきか考えさせられる1例であった。