[I-P01-1-05] 新生児期に発症した特発性左室源性心室頻拍の2例
キーワード:特発性左室起源性心室頻拍, ベラパミル感受性心室頻拍, 不整脈
【背景】特発性左室起源性心室頻拍(ILVT)はカルシウムチャネル拮抗薬が著効することから、ベラパミル感受性心室頻拍とも呼ばれている。しかし、新生児ではカルシウムチャネル拮抗薬は副作用の点から禁忌とされる。当院で経験した新生児ILVTの2例と、新生児ILVTの治療について検討した。【症例1】他院にて日齢17に頻拍を認め、ATP静注、電気的除細動(DC)を施行後も改善しないため当院へ紹介となった。心電図よりILVTと診断し、リドカイン静注のうえDCを施行し頻拍は停止したが、リドカイン持続投与下で頻拍発作が反復したため、プロプラノロールの内服を開始した。しかし、その後も頻拍発作を繰り返すためニフェカラントとの持続投与を開始し発作は消失した。ニフェカラントをアミオダロン内服に切り替えた後、日齢41に退院となった。【症例2】胎児超音波検査で頻拍を指摘され、在胎37週に帝王切開で出生となった。生後、入院時の心臓超音波検査で左室内に偽性腱索を認め、心電図所見からILVTと診断した。ランジオロール続投与を開始し頻拍発作は停止したが、断続的に頻拍発作が反復したため、フレカイニド内服(50mg/m2)を開始した。150mg/m2に増量した後、発作は消失し、フレカイニドの副作用なく日齢13に退院となった。【まとめ】特発性左室起源性心室頻拍では、刺激伝導系の束枝またはPurkinje線維が発作に関連していると言われており、近年では束枝リエントリ性回路におけるNaチャネル拮抗薬の有効性が報告されている。既報の新生児ILVT例に当院症例を加えた9例について検討したところ、ベラパミルが3例、ナトリウムチャネル拮抗薬が6例、β遮断薬が7例、カリウムチャネル拮抗薬が3例に対して使用されていた。新生児ILVITにおける治療薬として、ナトリウムチャネル拮抗薬やカリウムチャネル拮抗薬は選択枝となりうる。