[I-P01-4-02] Complex forms of TGA with VSD・severe PSに対する Aortic root translocationによる修復術を施行した3例
Keywords:TGA(III), Aortic root translocation, double switch
背景: complex forms of TGA with VSD and PSに対するaortic root translocation(ART)は, 大きな心室容積は不要でsmoothで広い流出路の形成が可能である.今回、d-TGA, VSD, PSの2例にARTによる再建を施行し,AVD, DORV, l-MGA, PSの1例に,atrial switch (Senning)+ARTによるdouble switch手術を施行したので報告する.手術方法: Aortic rootから両側冠動脈のcuffを切離後,aortic rootを右室流出路から採取した.肺動脈弁輪からoutlet septumをVSDにむけて切開,ePTFE patchにより新たな左室流出路を形成した.LeCompte maneuver後に,180度回転させたaortic autograftを左室流出路に吻合し,冠動脈を再移植した.右室流出路はウシ頸静脈弁にて再建した.AVDの症例ではatrial switch operation (Senning) を併せて施行した.症例:d-TGA, VSD, PS:①年齢:1歳2ヶ月,体重:6.6kg、mBTS後,LVEDV:84% of normal,RVEDV:144%,肺動脈弁輪径(PAV):78%,②1歳2ヶ月,7.9kg,mBTS後,LVEDV:134%,RVEDV:142%,PAV: 59%の2例.またAVD, DORVの症例は,③11ヶ月,7.5kg,PA banding後,LV:138%,RV:140%,PAV: 61%の1例であった.結果:手術時間は①8時間15分,②10時間9分,③15時間37分,大動脈遮断時間は①234分,②245分,③411分.ICU滞在日数は①10日,②13日,③39日であった.全例,外来通院中で経過観察期間は①2年2ヶ月,②3ヶ月,③7ヶ月.術後心室機能は良好で,房室blockなし.左室流出路及び右室流出路の狭窄を認めず.房室弁及び大動脈弁の機能障害を認めていない.また,①は術後1年2ヶ月でカテーテル検査を実施.両心室機能は良好であり,LVEDV:133%,RVEDV:111%,左室流出路圧較差:2mmHg,右室流出路圧較差:5mmHgであり流出路狭窄及び弁機能障害は認めなかった.結論: aortic root translocationによる左室および右室流出路形成は,解剖学的に正常に近い心室-大動脈間のalignの形成が可能であり,良好な遠隔成績が見込まれる有用な術式と考えられる.