[I-P02-2-04] 18トリソミーにおける心臓外科手術と予後および長期生存に伴う合併症
Keywords:18トリソミー, 心臓外科手術, 予後
【背景】18トリソミー(18T)は無治療の場合、1年生存率5.6~8.4%と生命予後不良である。特に、18Tの90%に先天性心疾患 (CHD)を合併し生命予後を左右する。近年、CHDへの手術介入により、18Tの予後改善が報告されている。一方、長期予後は不明であり、遠隔期合併症についての報告は少ない。【目的】CHD合併18Tに対する心臓外科手術介入が、生命予後や在宅移行率に及ぼす影響、さらに遠隔期合併症について明らかにする。【方法】対象は2009年3月から2022年10月までに当院に入院したCHD合併18T 42例。在宅移行を前提とした家族の治療希望があり、治療適応のある症例を心臓外科手術の適応とした。心臓外科手術を行った群(手術群)と行わなかった群(非手術群)について後方視的に調査した。【結果】手術群は15例 (VSD/PDA/ASD 計11例、ToF/DORV 3例、HLHS variant 1例)で、姑息手術のみ:6例、二期的ICR: 7例、一期的ICR 2例。心外合併症は食道閉鎖1例、髄膜瘤2例、肝芽腫2例。周術期死亡なし。非手術群は27例 (VSD/PDA/ASD 計17例、VSD+CoA 5例、ToF/DORV 3例、HLHS variant 1例、AVSD 1例)。非手術の理由は、家族の治療希望なしが20例、心負荷所見軽度が3例、手術適応なし3例(低体重1例、PH合併2例)。死亡例は手術群6例(40%)、非手術群22例(81%)であった。在宅移行率は71% vs. 8%。在宅移行した例では全例が何らかの医療的ケア(気管切開、在宅酸素、胃瘻等)を必要とした。遠隔期合併症としては、てんかん5例、下気道感染5例(うち胃瘻造設3例、気管切開4例、喉頭気管分離1例)であった。年間の再入院回数は平均4回(平均入院日数:21日)で、原因は肺炎が最多であった。【考察と結論】心臓外科手術介入により、CHD合併18Tの生命予後は改善し、在宅移行例は増えた。長期生存例では、心疾患以外の合併症や必要な医療的ケアは増える。18Tの治療にあたり、長期予後も加味して合併CHDへの治療計画を立てる必要がある。