第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

一般心臓病学

ポスター発表(I-P02-3)
一般心臓病学2

2023年7月6日(木) 11:10 〜 11:50 ポスター会場 (ポスター展示会場)

座長:西山 光則(こばやし医院)

[I-P02-3-01] チアノーゼを呈する心疾患患者の相対的鉄欠乏性貧血に関する検討

今西 梨菜, 岡 秀治, 柴垣 有希, 島田 空知, 中右 弘一, 髙橋 悟 (旭川医科大学 小児科)

キーワード:チアノーゼ, 鉄欠乏性貧血, 心疾患

【背景・目的】チアノーゼを呈する患者では二次性赤血球増加を認めることが多く、相対的鉄欠乏性貧血に注意が必要である。相対的鉄欠乏に対する適切な鉄補充は運動耐容能やQOLを改善させるとの報告がある。また、チアノーゼ性心疾患の小児で鉄欠乏が多く、チアノーゼ発作が増えることも知られている。しかし、チアノーゼを呈する患者の相対的鉄欠乏性貧血の定義は不明である。本研究の目的はチアノーゼを呈する心疾患患者の血液検査データについて検討を行い、鉄補充の指針を明らかにすることである。【方法】2017年3月から2022年12月に当院で検査入院したチアノーゼを呈する心疾患患者32名を対象にした。血液検査データ、安静時SpO2、チアノーゼ期間、心係数について比較・検討した。【結果・考察】年齢 1か月-30(中央値5.3)歳、男性15例、女性17例、安静時SpO2 69-90(中央値83.2)%、Hb 11.0-18.9(中央値14.2)g/dL、心係数 2.3-7.3(中央値4.3)であった。チアノーゼの程度により適切なHb値は変化するため、Hbのカットオフを安静時SpO2 81-90%でHb 14g/dL、SpO2 71-80%でHb 16g/dL、SpO2 ≦70%でHb 18g/dLに設定し2群に分類した。Hbカットオフ値以下群では、Ht(p<0.001)、Fe(p=0.043)、Ferritin(p=0.006)、CHr(p=0.020)、Tf飽和率(p=0.024)が有意に低値、RDW(p=0.018)が有意に高値であった。安静時SpO2、チアノーゼ期間、心係数は2群間で差を認めなかった。Hbカットオフ値以上群はFerritin 16.9-84.8(中央値52.4)ng/mL、Tf飽和率 14.6-50.8(中央値33.2)%と鉄は比較的保たれていた。チアノーゼを呈する患者では心係数に有意差を認めないながらも、見かけ上は貧血と捉えられないHb値で相対的鉄欠乏性貧血をきたしていたことがわかった。【結論】安静時SpO2が低値であるほど必要なHb量は多く、それに伴って鉄需要が増すことに注意し、各鉄動態指標を参考にした鉄補充が望ましいと考える。