[I-P02-3-02] 佐賀県における重症先天性心疾患検出を目的とした新生児パルスオキシメトリースクリーニング
Keywords:重症先天性心疾患, パルスオキシメトリースクリーニング, 新生児
重症先天性心疾患(CCHD)は「動脈管依存性心疾患や生後1か月以内に手術やインターベンションを要する心疾患」と定義され1000人当たり1-2人出生する。胎児心臓超音波検査と出生後の臨床症状(心雑音やチアノーゼなど)により約80%のCCHDが診断されるが、残りは見落とされショックに陥り発見されることがある。CCHDの早期発見にはパルスオキシメトリーによる酸素飽和度の測定が有用であるが、欧米を中心に普及しているパルスオキシメトリースクリーニングは本邦において十分普及しているとは言い難い。当県では産婦人科医会の協力の元、2019年より県独自のスクリーニングを開始した。今回、スクリーニング前(2008-2018年)とスクリーニング後(2019年~2022年)の対象期間に出生したCCHD症例を比較検討した。【対象】佐賀県内の新生児治療室に入院したCCHD(13・18トリソミーは除く)【方法】診療録を用いてスクリーニング前後の週数・体重・入院日齢・病名・胎児診断・SpO2測定の有無・転帰(カテコラミンやPGE製剤の使用の有無・ショックの有無・人工呼吸管理の有無・死亡)を後方指摘に検討した。【結果】胎児診断:前14%/後41%(p<0.01)、SpO2測定:前57%/後84%(p<0.05)、入院日齢:前3.3日/後0.6日(p<0.01)と有意差を認めたが、前と比較し胎児診断例が増加していた。さらに産院出生例に限定して検討し、入院日齢:前5日/後1日(p<0.05)、カテコラミンの使用:前40%/後0%(p<0.05)、PGE製剤の使用:前77%/後40%(p<0.05)と有意差があり、前と比較し産院で出生したCCHDが早期に発見されており、カテコラミンの使用頻度が減っていた。【結語】出生前診断が困難なCCHD例はパルスオキシメトリースクリーニングにより早期発見が期待できる。