[I-P02-3-03] VR(バーチャルリアリティ)を活用した小児心臓カテーテル検査
Keywords:心臓カテーテル検査, VR, 鎮静
【背景・目的】VRは頭部に装着した機器により眼前に3Dの仮想映像を投影する技術で、近年医療現場においても教育、治療・手術支援、リハビリテーション、遠隔医療などに活用され始めている。当院では小児患者に対する心臓カテーテル検査をほぼ全症例で静脈鎮静下に行ってきたが、呼吸循環抑制によるリスクを生じることや、鎮静の影響を受けたデータの正確性に疑問を生じることは少なくない。【対象・方法】心臓カテーテル検査を受ける6歳以上の小児のうち、本人と保護者の希望があった症例でVR装着・非鎮静下に検査を行い、効果や安全性を検証した。【症例1】9歳男児、単心室に対してFontan手術を行い5年後の評価検査を行った。先にVR装着し非鎮静下に検査を行い、続いて静脈鎮静下に検査およびコイル治療を行った。VR装着→鎮静下でSpO2は96→94%と低下し、静脈圧は16→14mmHg、心係数は3.2→3.5ml/min/m2と得られた検査値も変化した。【症例2】13歳男児、右室型単心室に対してFontan術後。腎不全、左上肢欠損の合併あり。鎮静で舌根沈下を生じるため、前医では非鎮静下に局所麻酔で心臓カテーテル検査が行われていた。2年後に腎移植適応評価のため当院紹介となり、VRを装着し非鎮静下に検査を行った。検査中は安定しており静脈圧 7mmHgと低い値を示した。【症例3】13歳男児、COVID 19ワクチン接種後に夜間のST上昇を伴う胸痛を認め、冠動脈内アセチルコリン負荷検査で冠攣縮とST上昇を認め、冠攣縮性狭心症と診断され、Caブロッカー内服が開始された。半年後にフォローアップ検査を行ったが、負荷時の胸痛の有無が診断に重要であるため、VR装着し非鎮静下に検査を行った。負荷で冠攣縮は改善しており胸痛もないことを確認することができた。【まとめ】仮想映像に集中させることができるというVRの利点を利用すれば、小児でも非鎮静下に安全で正確な心臓カテーテル検査を行うことが期待できる。