[I-P03-4-05] ファロー四徴症患者の右室流出路修復術後にみられる分岐肺動脈逆流の左右差は術後早期より存在する
キーワード:ファロー四徴, 肺動脈逆流, 術後
【背景】肺動脈逆流(PR)はファロー四徴症(TOF)修復後によくみられ、遠隔期の左肺動脈逆流率(LPA-RF)は右肺動脈逆流率(RPA-RF)よりも大きいと報告されている。しかし、この左右差が術後早期から存在するか否かを検討した研究はない。【目的】TOF に対する右室流出路修復術(RVOTR)の術後 10 年以下症例の LPA-RF と RPA-RF を比較すること。【方法】2019 年 12 月から 2022 年 9 月までに北海道立子ども総合医療・療育センターにて心臓 MRI 検査により左右肺動脈の RF を計測した、最終の RVOTR 後 10 年以内の TOF 患者 38 例を対象とした。最終の RVOTR から検査までの期間の中央値である 1 年 9 か月未満を S 群、1 年 9 か月以上を L 群として各 19 例ずつ 2 群に分け、Wilcoxon 符号付順位検定を用いて後方視的に解析を行った。有意水準は p < 0.05とした。【結果】S 群は平均 18 歳であり、うち re-RVOTR が 13 例、術式は Rastelli 17 例, 自己弁温存 2 例であった。L 群は平均 11 歳であり、うち re-RVOTR が 3 例、術式は Rastelli 9 例, TAP 3 例, 自己弁温存 7 例であった。主肺動脈の RF は S 群で 9.6% (4.7-12.8)(以下すべて中央値 [IQR] 表記)、L 群で 23.2% (10.1-28.8) であった。S 群における LPA-RF は 14.7% (8.7-19.5) (Net LPA flow 1.4 L/min [0.6-1.8])、 RPA-RF は 5.4% (2.5-10.8) (Net RPA flow 1.9 L/min [1.0-2.6]) (P = 0.02) であった。L 群における LPA-RF は 24.6% (13.8-37.0) (Net LPA flow 1.2 L/min [0.9-1.6]) 、RPA-RF は 12.4% (4.4-21.4) (Net RPA flow 1.8 L/min [1.5-2.3]) (p < 0.01) であった。【結語】TOF に対する RVOTR 後の早期より、LPA-RF は RPA-RF よりも大きいことが示された。