[I-P04-2-02] モニターで気づかれたベラパミル感受性心室頻拍の新生児例
Keywords:ベラパミル感受性心室頻拍, 新生児, カルディオバージョン
【背景】ベラパミル感受性心室頻拍(VSVT)は小児の持続性心室頻拍の中では比較的頻度が高く、通常は器質的心疾患を認めず予後良好である。新生児期の発症例は稀で、また新生児期のVSVTは治療に難渋したり突然死の報告もある。今回、新生児期に発症したVSVTを経験した経過を報告する。【症例】日齢7の男児。在胎39週3日、3440gで出生、日齢5に新生児黄疸のため入院。光線療法後日齢7に退院予定であったが同日モニターでHR 220 bpmの頻脈を認めた。胸部レントゲンで心胸郭比49.8%、BNP 110.5pg/mlであり心不全症状は認めなかった。エコー上心機能良好で、心筋症等の構造異常を認めなかった。12誘導心電図ではHR 220 bpmでQRS幅 110msecのwide QRS頻拍を認めた。変行伝導を伴う発作性上室頻拍を疑い、迷走神経刺激とATPの急速静注を行ったが頻拍は停止せず、心室頻拍(VT)と診断し5J ,10Jでカルディオバージョン行うも無効であった。ランジオロールを開始、10γまで増量し15Jでカルディオバージョンを行ったところVT停止、洞調律に復した。発作停止後の心電図は正常で頻拍時のVTは右脚ブロック+左軸偏位型であることからVSVTと診断した。ランジオロール持続静注にてVT再燃なく、漸減しプロプラノロール2mg/kg/日内服へ移行した。以降VTの再発を認めていない。【考察】新生児期のカルシウム感受性は高く重篤な副作用が懸念されるため、今回ベラパミルは使用せずβブロッカー及びDCで停止を試みた。既報でも新生児のcardioversionは体格、胸郭のimpedance、padやpaddleが小さいことから推奨より高通電量を要することがあるとされている。今回βブロッカー及び5J/kgの高通電量のcardioversionにてVSVTを停止できたが、新生児期にもベラパミルが著効した既報も散見されるが、新生児期のVSVTは治療抵抗性との報告もあり、適切な治療の確立にはさらなる症例の蓄積が待たれる。