第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

電気生理学・不整脈

ポスター発表(I-P04-2)
電気生理学・不整脈2

2023年7月6日(木) 14:30 〜 15:30 ポスター会場 (ポスター展示会場)

座長:畑 忠善(藤田医科大学ばんたね病院 臨床検査科)

[I-P04-2-04] グアンファシンの過量投与により著明な徐脈、QT延長を来たした一例

中村 甫, 高見澤 幸一, 渡辺 恵子, 佐藤 要, 小澤 由衣, 小川 陽介, 田中 優, 白神 一博, 益田 瞳, 松井 彦郎, 犬塚 亮 (東京大学 医学部 小児科)

キーワード:グアンファシン, 過量内服, 徐脈

【背景】グアンファシンは選択的α-2Aアドレナリン作動薬であり、小児の注意欠陥/多動性障害(AD/HD)で広く使用される。副作用として血圧低下、徐脈が生じるため、添付文書では1ヶ月に一度程度の血圧測定、脈拍測定などを行うように記載されている。一方で過量内服による徐脈の報告は少ない。今回、グアンファシン過量内服により著明な徐脈、QT延長を来たした症例を経験したため報告する。【症例】13歳女児。AD /HDに対して9歳からグアンファシンを内服していた。複数回徐脈の指摘あり、内服量を調整する経緯があった。中学校に進学後、勉学に対する精神的負担を感じていた。X-4日に腹痛を自覚し、X-2日に近医を受診したところ、徐脈を指摘されたが経過観察となった。腹痛が増悪しX日に前医を受診、肝酵素上昇、徐脈とQT延長を認めたため当院に搬送となった。当院到着時に心拍数 44/min、QTc 600 msecと同様の所見を認めた。原因となる電解質異常はなく、病歴から薬剤性徐脈が疑われたが本人は過量内服を否定しており過量処方を疑い、ICU管理下で被疑薬のグアンファジンの減量を行ったところ頻脈や血圧上昇はなくX+5日に心拍数、QTは正常範囲に改善し肝機能も改善傾向であった。グアンファシン内服量を1/3に減量し再燃がないことを確認しX+7日に退院とし、外来での精査継続とした。しかし退院二週間後に徐脈と意識障害で他院に搬送され、その際に本人が申告したことで当院での徐脈の原因が過量内服であったことが判明した。【考察】ICU管理下でモニタ管理を継続し、グアンファシンを緩徐に減量することで、中断に伴う頻脈、高血圧などは生じず管理可能であった。過量内服を疑うべき経過であったが本人が否定していたことから十分な再発予防が出来なかった。グアンファシンを服用中の小児で徐脈を認めた場合には過量内服を考慮して詳細な問診を行うべきであり、服薬管理についても注意を要する。