[I-P04-3-05] ヒトiPS細胞およびiPS心筋細胞におけるコネキシン45変異による影響
キーワード:ヒトiPS細胞, iPS心筋細胞, コネキシン45
【背景】遺伝性心疾患患者のiPS細胞(iPSC)から分化誘導して得られる心筋細胞(iPSC-CM)は、患者心筋に代わり、遺伝子変異による細胞機能変化の評価に用いることができる。コネキシン(Cx)は隣接する細胞間の物質の輸送を司るギャップジャンクション蛋白の一つである。心臓にはCx43, 40, 45が発現し、Cx45は心臓では刺激伝導系に限局して存在する。Cx45の変異は、心房に限局した伝導障害を引き起こした。【目的】iPSC並びにiPSC-CMを用いて、コネキシン45変異による影響を評価すること【方法】健常者およびCx45変異をもつ患者の不死化B細胞株にからiPSCを作製した。定量PCR法により遺伝子発現を検討した。iPSC-CMを誘導し、多点平面微小電極システム(MED64, Alpha MED Scientific)に接着して外部電流を測定した。【結果・結論】Cx45変異iPSCコロニーは健常者のものに比べて、細胞の集合密度が低い傾向であった。Cx45mRNAは、iPSCおよびiPS-CMに同等に発現した。健常2名、Cx45患者2名、各3iPSCを比較したところ、Cx45、Cx40、筋小胞体に局在するCalsequestrin 2, Phospholamban, Salcolipin、SCN5A(心Naチャネル)、KCNQ1(LQT1)、KCNJ4(Kir2.3)、SLC8A1(Na/Ca Exchanger)、接着タンパク質であるVitronectin、細胞外マトリックスの受容体であるIntegrinβ1の遺伝子発現が、健常iPSCに比べて有意に高く、細胞接着因子のCadherin 1, Cadherin 3の発現は低下していた。MED64の波形に健常とCx45変異では違いが見られた。【結論】Cx45変異は、iPSC間の接着や関連遺伝子群の発現や、CMの機能にも影響を及ぼした。