第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

会長賞候補講演

会長賞候補講演(I-PAL)

2023年7月6日(木) 10:00 〜 10:50 第1会場 (G3)

座長:鈴木 孝明(埼玉医科大学国際医療センター小児心臓外科), 座長:坂本 喜三郎(静岡県立こども病院)

[I-PAL-03] 先天性心疾患に対し治療介入を行なった18トリソミー症候群の予後因子の検討

藤岡 泰生1, 宍戸 亜由美1, 杉山 隆朗1, 安川 峻2, 小林 城太郎2, 稲毛 章郎1, 大石 芳久1 (1.日本赤十字社医療センター 小児科, 2.日本赤十字社医療センター 心臓血管外科)

キーワード:18トリソミー症候群, 先天性心疾患, 心内修復術

[背景] 近年, 18トリソミー症候群(T18)において, 先天性心疾患(CHD)に対する治療介入が生命予後を改善する可能性がある事が報告されるが, その他の生命予後への関連因子は明らかでない.[目的]CHDに対し外科的もしくはカテーテル治療介入(cardiovascular intervention: CI)を行なったT18の生命予後関連因子を明らかにすること. [方法] 2006年1月から2021年12月に出生し, CIが施行されたCHDを合併したT18の診療録を後方視的に検討した. 心内修復術(ICR)を施行していない姑息術群(P群)と施行したI群に分け統計学的解析を行なった. 背景因子の比較はt検定, Mann-Whitney U検定とカイ2乗検定を用いた. 生存期間の分析にはカプランマイヤー法を用い, log-rank検定とCox比例ハザードモデルで解析した. [結果]対象は105例でP群が71(男: 28)例でI群が34(男: 3)例であった. 観察期間の中央値は865日(8-5981)であった. 両群間で男女比に有意差を認めた(P=0.001)が, 在胎週数(P群: 37.4±2.8 vs. I群: 38.1±2.3週), 出生体重(P群: 1760±400 vs. I群: 1769±421g), 姑息手術施行日齢(P群: 29(4-615) vs. I群: 28(4-236)日), 消化器合併症に対する手術介入率(P群: 25.4 (18/71) vs. I群: 17.6 (6/34)%), 気管切開施行率(P群: 25.4 (18/71) vs. I群: 17.6 (6/34)%)に有意差は認めなかった. 生存期間の中央値はP群: 885日(95%信頼区間(CI): 416-1843), I群: 未到達(95%CI: 2674-NA)で両群間に有意差を認めた(P<0.001, log-rank). 生存期間の多変量解析ではICR施行(P<0.001, ハザード比(HR)(95%CI): 0.15(0.05-0.43)), 性別(男)(P=0.023, HR(95%CI): 2.06(1.10-3.85)), 出生体重(1700g以上)(P=0.002, HR(95%CI): 0.38(0.20-0.70))が有意な予後因子であった.[結語]18トリソミー症候群のCHDに対する心内修復術は予後を改善する可能性があるが, 性別や出生体重などの個々の患者背景も考慮して治療方針を提案することが重要と考える.