[I-PD1-02] Norwood術後大動脈狭窄に対する手術介入とフォンタン適応獲得に関する検討
Keywords:ファンタン, HLHS, 大動脈狭窄
【背景】Norwood手術後の大動脈狭窄は後負荷上昇により心不全の原因となる.拡張末期圧や心房圧の高値はフォンタン循環成立の障害となり,特に房室弁閉鎖不全合併例ではリスク要因となる.【目的・方法】大動脈狭窄に介入した症例について適応と遠隔成績について検討する.2000年8月以降にHLHSおよび類縁疾患でNorwood手術を施行した64例を対象とした.【結果】Norwood手術時年齢:2.6±1.8か月(3日- 9か月),体重3.9±1.0kg(2.2-6kg).フォンタン到達 42例,フォンタン待機 6例である(全体の75%).Norwood術後の大動脈狭窄に対して大動脈修復を行ったのは 8例で再手術時年齢は中央値:3.5か月(12日- 25か月) Norwood手術からは4か月(1日- 25か月),術前心不全を6例に認め,狭窄部位はarch distal 6例,arch 1例,arch proximal 1例であった.術式はPatch拡大6例,鎖骨下動脈フラップ法(SCF)2例を行った.同時手術としてBDG 2例,肺動脈形成1例. 術前圧較差は31±10mmHg(20-49)で7例に術後圧較差が消失したが,SCFの1例で狭窄残存のため再Patch拡大を要した.病院死亡はなく,6例がFontanに到達し1例が待機中で,1例 BDG後に肺炎で3才時に失った.【考察】狭窄解除での大動脈弓パッチ拡大後に頸部動脈が大動脈弓部背側で狭窄を生じやすくなり,1例に遠隔でtotal arch replacement,1例に腕頭動脈修復を必要とした.【結論】大動脈狭窄解除後に心不全は全例で改善し,その後のFontan到達も良好であった.良好なフォンタン循環のためにNorwood術後に生じた大動脈狭窄は積極的に解除することが望ましいと考えられた.また狭窄解除の術式では大動脈弓部のパッチ拡大で頸部動脈狭窄が生じる可能性があり,配慮が必要と考えられた.