[I-PSY2-03] 運動負荷心臓MRIの現状
キーワード:MRI, 運動負荷, 心臓
運動負荷心臓MRI(Ex-CMR)はCMRの多機能性と運動負荷を組み合わせた心血管系評価ツールで,技術進歩に伴いこの25年で大きく発展した.Ex-CMR負荷装置は多様で, スキャナーボア外トレッドミルかボア内負荷装置に分類される.ボア外負荷は12誘導心電図が明瞭で変化を素早く検知できるが, 運動後迅速に移動して撮影する必要がある.一方,ボア内負荷では,運動中か停止して撮影できタイムラグが生じない.しかし身体運動や呼吸増加によるアーチファクトを生じECG gatingも困難になるなど問題もある.近年は撮影高速化や技術的革新により問題も低減しつつあるが臨床汎用のハードルは高い.ボア内負荷装置には仰臥位エルゴメータやステッパー,ハンドグリップなどがある.対象疾患は冠動脈疾患にとどまらず先天性心疾患や弁膜症,肺高血圧・糖尿病性心疾患などに及ぶ.負荷プロトコールは装置に依る.トレッドミルはまとまった負荷後ボア内に移動してCine,Stress Perfusion, 休憩を挟んでRest perfusion,LGEを撮影する(50分). 仰臥位エルゴは2-3分ずつ段階的に負荷を上げ(25Wずつ5setsなど)各セット後半(負荷に対して一定の心拍数が得られた段階)でCine やFlowを撮影する.冠動脈疾患では局所壁運動やperfusionで虚血領域が検出される.ボア外トレッドミル負荷を用いたEXACT trialではEx-CMRはEx-SPECTと比し冠動脈有意狭窄検出感度(78.6vs50.0%)特異度(98.7vs93.7%)が高かった.ボア内負荷を用いた最近の研究ではEx-CMR T1 mappingの虚血検出能が示唆されるなど,様々な成果が発表されている.先天性心疾患では仰臥位エルゴメータが用いられ様々な病態で生理反応が評価されている.特に体心室右室やFontan循環,TOF術後PPVI後などのデータが蓄積されている.当院では2021年に仰臥位エルゴが設置され,臨床応用すべく試行錯誤を重ねている.本発表では上述した運動負荷CMRの現状と当院での取り組みについてすこしばかりご紹介したい。