[I-PSY2-05] Fontan循環における運動時末梢静脈圧測定
キーワード:Fontan, 心肺運動負荷試験, 静脈圧
小児循環器医にとって先天性心疾患患者の術後フォローアップは重要な役割の一つです。外来では身体診察にはじまり、血液検査、レントゲン、心電図、心エコーと各種の検査が行われます。それらの検査が安静時に行われるのに対して、心肺運動負荷試験は運動中の血行動態を評価する数少ない検査の一つです。Fontan循環において、中心静脈圧は循環動態を評価するうえで重要な指標でありますが、その中心静脈圧と末梢静脈圧の間には非常に強い相関関係があります。当院ではこの特徴を利用し、Fontan術後患者に対して末梢静脈圧を測定しながら心肺運動負荷試験を行っています。これまで60例程度の患者さんに検査を行いましたが、平均中心静脈圧が10mmHg前後なのに対し運動中の最大末梢静脈圧(peakVP)は平均で25mmHgまで上昇することが分かりました。またpeakVPは症例によってばらつきの多い指標であり、peakVO2とpeakVPの間には負の相関関係が認められることが分かりました。peakVO2は運動耐容能を表す指標ですので、「調子のよい患者は末梢静脈圧が上がりにくい」と言うことができます。心肺運動負荷試験は小児循環器領域において非常に重要な臨床検査でありますが、同時に末梢静脈圧測定を加えることで新たな価値を付加できる可能性があります。