[I-SY03-06] 心臓突然死ゼロをめざして~小中高校生心原性院外心停止症例全国調査~ 第1報
Keywords:院外心停止, 心臓突然死, 学校検診
【背景】2005〜09年の児童生徒の心原性院外心停止(OHCA)全国調査58例の検討では bystanderによる自動体外式除細動器(AED)の使用が神経学的予後改善に繋がるが,その施行率は25%以下と低いため,50〜75%に死亡・重度神経後遺症を残す実態が報告された.一方 未だOHCA登録制度がなく,その後の推移と原疾患・高リスク群・場所・状況、AEDの有用運用(配置・教育)や学校心臓検診の役割に関するデータは乏しい. 【目的と方法】日本小児循環器学会修練施設を対象に、2017〜21年の小中高校生のOHCA発生状況とAEDを用いた蘇生,疾患予後に関して全国調査を行った.【結果】症例24例(中央値11歳,男79%)のうち,目撃者のある蘇生例96%,初期心電図波形が心室細動(VF) は67%,bystanderによる心肺蘇生が施行された例96%,bystanderによる除細動が施行された例84%であった. 学校管理下発症例は50%であり, 社会復帰率(普通学級・支援学級へ復帰)75%,1か月生存率79%であった.学校管理下例では,全ての症例でbystanderによる除細動が施行され(100%),それら全てが社会復帰した(100%). うち運動関連による発症例は67%で,場所は運動場,プール,体育館が67%を占めた. 学校非管理下発症例でも,67%でbystanderによる除細動が施行され,社会復帰率は50%であった.発症前心疾患経過観察例は33%で,平均年齢11.3歳.非経過観察例は67%,平均年齢11.5歳であり, 安静時心電図が正常範囲とされる3疾患(冠動脈奇形,カテコラミン誘発多形性心室頻拍,特発性VF)が33%を占め, 83%が運動関連発症であった.【結語】学校管理中・非管理下のOHCA症例におけるAED使用率の向上および社会復帰率の改善傾向がみられた.症例の集積と学校現場および一般社会への心肺蘇生およびAEDの教育啓蒙普及活動を今後もさらに進める必要がある.