JSPCCS-AHA Joint Session（II-AHAJS）
先天性心疾患における新規心不全治療薬の夜明け/Dawn of new drugs for heart failure in patients with congenital heart disease
第一部「先天性心疾患における新規心不全治療薬の国内使用経験」
第二部「先天性心疾患における新規心不全治療薬の日米使用経験」

[II-AHAJS-02] 慢性心不全を有する成人先天性心疾患患者に対するSGLT2阻害薬の急性期および短期効果

^○森 有希¹, 大内 秀雄¹, 黒嵜 健一² (1.国立循環器病研究センター 成人先天性心疾患センター 小児循環器内科, 2.国立循環器病研究センター 小児循環器内科)

Keywords:成人先天性心疾患, SGLT2阻害薬, Fantastic4

【背景】SGLT２阻害薬は抗心不全効果を含めた多面的な効果により注目を集めているが成人先天性心疾患（以下, ACHD）患者における臨床効果、安全性は明らかではない。【目的】当施設における慢性心不全を有するACHD患者に対するSGLT2阻害薬の臨床効果と安全性を明らかにする。【対象と方法】ACHD患者にDapagliflozinもしくはEmpagliflozinを新規導入し臨床経過について検討した。【結果】ACHD22例に新規導入した。患者の導入時年齢中央値は35.5歳（19-57歳）、性別は男性6例女性21例、体重中央値は49.9kg（33-74.5kg）、BMI中央値は20.2(15.4-30)であった。基礎心疾患はファロー四徴症4例、房室中隔欠損症1例、修正大血管転位症4例、フォンタン術後11例であった。NYHAクラス分類はⅡ7例（32％）、Ⅲ15例（68％）。利尿薬20例（91％）、その他のMRA17例（77％）、ACEI/ARB/ARNI16例（74％）、β遮断薬17例（77％）を投与していた。Dapagliflozin導入後、1例で薬疹を認めEmpagliflozinへ変更を行い薬疹の再発はなく継続し得た。その他、アシドーシスや低血糖など導入を断念する有害事象は認めなかった。【結語】SGLT2阻害薬導入は比較的安全に導入可能であるが、導入に際しては疾患重症度に応じて慎重な体液管理が望まれる。長期投与の効果については不明であり今後検討予定である。