The 59th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

JSPCCS-AHA Joint Session

JSPCCS-AHA Joint Session(II-AHAJS)
先天性心疾患における新規心不全治療薬の夜明け/Dawn of new drugs for heart failure in patients with congenital heart disease
第一部「先天性心疾患における新規心不全治療薬の国内使用経験」
第二部「先天性心疾患における新規心不全治療薬の日米使用経験」

Fri. Jul 7, 2023 3:40 PM - 6:20 PM 第1会場 (G3)

【第一部】座長:宮原 義典(昭和大学病院小児循環器・成人先天性心疾患センター), 仁田 学( 横浜市立大学附属病院次世代臨床研究センター/循環器内科)
【第二部】Chair: Hiroyuki Yamagishi(Keio University School of Medicine, JAPAN), Kimberly Y. Lin(Children’s Hospital of Philadelphia and Current chair of the Young Hearts Heart Failure and Transplant Committee, USA)

[II-AHAJS-03] 当院における成人先天性心疾患患者に対するSGLT2阻害薬の使用経験

島田 衣里子, 朝貝 省史, 原田 元, 西村 智美, 工藤 恵道, 竹内 大二, 豊原 啓子, 篠原 徳子, 稲井 慶 (東京女子医科大学 循環器小児・成人先天性心疾患科)

Keywords:成人先天性心疾患, 慢性心不全, SGLT2阻害薬

【背景】成人の循環器内科領域では慢性心不全の治療薬としてSGLT2阻害薬の有効性が示されてきているが、成人先天性心疾患における有効性や安全性については不明な点が多い。【目的】成人先天性心疾患患者におけるダパグリフロジンの有効性および安全性について検討すること。【方法】当科かかりつけの18歳以上の成人先天性心疾患患者のうち2020年1月から2022年1月までに外来もしくは入院中にダパグリフロジンを処方された患者について診療録を用いて後方視的に検討を行った。【結果】対象患者は32例(男性19例)で未修復の複雑心奇形1例、2心室修復術後18例(体心室右室5例)、単心室血行動態12例、1+1/2血行動態1例だった。導入時年齢は22-72歳(平均42±12歳)でNYHA分類はI/Ⅱ/Ⅲ/Ⅳそれぞれ0/20/9/3例だった。導入前HbA1c6.5%以上であったのは6例(28%)で中央値は5.9だった。併用していた内服薬はループ利尿薬32例(100%)、そのほかの利尿薬24例(75%)、ACE阻害薬/ARB 11例(34%)、β遮断薬30例(93%)だった。フォロー中に死亡したのは5例(心不全4例、感染性心内膜炎1例)で、内服開始後、何らかの理由で中止となったのは3例(皮疹1人、ケトン上昇1人、腎機能増悪1人)だった。導入後に尿量増加の自覚があると答えた患者は12例だったが、利尿剤を減量できた患者は2例のみだった。また、開始後約1か月後での血液学的検査では、BNPの有意な変化はなく、一時的な腎機能の低下傾向がみられたが有意差は認めなかった。【結語】ACHD患者においてもダパグリフロジンの導入は比較的安全で、腎機能の経過には注意する必要があるものの尿量増加などの効果はみられることが推察された。当院での導入は比較的心不全末期での導入が多かったが、今後長期的な予後への有効性があるかどうかなどについてなどの検討にはさらなる症例の蓄積が必要と考えられた。