[II-CSY5-05] 肺血流増加型先天性心疾患に対する低濃度酸素吸入療法
Keywords:低濃度酸素, 窒素, 保険収載
背景:小児循環器診療において肺血流増加による循環不全は生命の危険を生じる重大な病態であり、安定した血行動態管理は小児循環器集中治療において重要な課題である。目的および方法:日本小児循環器学会の分科会である日本小児循環器研究会の積極的な活動により、2018年に肺血流増加型先天性心疾患に対する低濃度酸素吸入療法が保険償還された。一方で、診療報酬は酸素療法と同等の償還価格であり、臨床現場では、病状に対する必要な人的医療資源との間に乖離が見られた。日本小児循環器集中治療研究会では、令和2年度の診療報酬改定から継続して診療報酬改定を要望しており、今回令和6年の改訂に向けての活動を報告する。報告:令和6年の診療報酬改定では、「酸素療法とは別の診療報酬処置とすること」および「診療報酬状の増点」を申請した。申請の過程において、低濃度酸素吸入療法にかかる日本全体の客観的人的データの収集と解析に関する課題があがり、事前の調査と計画的な申請体制の必要性が感じられた。結語:先天性心疾患に特化した診療を保険診療に結びつけるためには、学会全体で戦略をたてる必要があると考えられた。