[II-CSY7-03] 事例で学ぶ子どもの権利
キーワード:小児循環器, 子ども, 権利
小児循環器疾患をもつ小児の多くは、採血、検査や治療に伴う点滴、心臓カテーテル検査や治療、手術など、痛みを伴う処置を受ける。また、入院や集中治療室への入室などにより、家族や友人と離れてすごす場合もある。病状により、水分や塩分、脂質を制限した食生活や、安静のため遊びや行動範囲の制限も必要とされる。これらの処置や治療は一時的な場合が多いが、繰り返しの採血や点滴や制限された生活を長く継続する子どもたちもいる。また、ペースメーカーやICD埋め込みにより本人の思い描いていた将来の就労や経験の選択肢が減る場合もある。重症心不全により心臓移植を受ける意思決定をし、補助心臓を埋め込み待機生活を送る子どももいる。このような子どもたちの「生きる権利」はもちろん「参加する権利」を考え、必要な処置や治療について、発達段階に応じた説明を行い、インフォームドアセントを得て行う、という考え方が勧められている。しかし実際に、例えば幼児に採血を行う際、全ての子どもに時間をかけて説明し、納得して採血を受ける状況にできるか、と考えると、子どもの病状や個性だけでなく、医療者側の状況、他の患児・家族への対応など多面的な要素により、難しい場合もある。子どもたちに関わる医療者は、このような倫理的葛藤を日々多く経験しているのではないだろうか。本日は小児循環器疾患をもつ子どもの権利と医療者の実践について、前述に挙げたような事例で具体的に検討したい。