[II-OR19-02] 孤立性右室低形成に左室の拡張障害を合併した一例
Keywords:孤立性右室低形成, 拡張障害, 拘束型心筋症
【背景】孤立性右室低形成(IRVH)は、三尖弁は種々の程度に小さいものの、右室の流出路に異常を伴わずに、右室の低形成を示し、ASD/PFO以外の先天性心疾患を有しない稀な先天性心疾患である。症例報告は散見されるが、正確な自然歴や予後に関しては不明な点が多い。今回IRVHに左室の拡張障害も合併した一例を経験したため報告する。【症例】1歳1ヶ月女児。生後チアノーゼを認め前医へ入院。IRVH, PFO, 筋性部small VSDと診断され、PFOでの右左シャントを認め、チアノーゼの原因と判断された。在宅酸素を導入して退院したが生後2ヶ月で酸素は離脱した。生後5ヶ月で当地へ転居し紹介された。全身状態は非常に良好であった。エコーで右室低形成および右房拡大を認め、左房も著明に拡大しており拡張障害を疑った。VSD・PFOは閉鎖していた。経時的にBNPは上昇し447pg/mlとなりカテーテル検査を行った。RA (7)mmHg, RV 36/e13mmHg, PA 32/12(22)mmHg, PAWP (12)mmHg, LV 82/e21mmHgと両心室の拡張末期圧の上昇を認め、左室で著明であった。RVEDV 9.3ml(46% of N), LVEDV 13.9ml(71% of N)と右室容量低下を認めた。心臓MRIでは右室低形成と心筋の中隔での限局性の肥厚を認めた。右室低形成に両心室の拡張障害も合併しており、拘束型心筋症に準じてACE-Iの継続、β-blocker、利尿剤の導入を行い経過観察中である。【考察】これまでに報告されているIRVH症例において、左室の拡張障害を呈する症例はほとんど報告がなかった。IRVH単独でも死亡報告は多く、左室拡張障害を有する本症例では予後は悪いと推定され、今後心移植も念頭に置いた管理が必要である。