[II-OR20-04] 乳児期冠動脈バイパス手術の中期成績
キーワード:冠動脈, 乳児, 完全大血管転位
【背景】冠動脈異常の他、血管炎やJatene術後など、小児でCABGを要することがあるが、乳児期に施行された報告は少ない。【目的】乳児期に施行したCABGの成績を検討すること。【対象と結果】2015年以降当院で乳児期に施行されたCABG3例を対象とした。症例1:2か月女児、3.3kg。Taussig-Bing(Shaher 4)、CoA。生後9日にarch repair+Jatene手術後。severe PSに対してRV-PA 導管置換を施行、剥離操作中にRCA起始部を損傷し、CABG(RITA-RCA)を追加で行った。術後1.7年でのカテーテル検査でグラフトは開存、2歳時にRV-PA conduit再置換を施行。現在CABG後5年、経過良好。症例2:7か月男児、7.2kg。TGA(I)(Shaher 5a)。生後11日にJatene手術を施行、壁内走行部の剥離中にLMTを損傷し、LMT入口部形成(新鮮自己心膜パッチ)を行った。3か月時の定期外来時に心機能低下を認め、緊急カテーテル検査でLMT狭窄を認めた。側副血行路の発達による改善を期待し待機したが心機能の改善は得られず。CABG(LITA-LAD)を施行したが、術後3か月で慢性心不全の急性増悪で死亡した。術後2か月のカテーテル検査でグラフトは開存していたが、心機能が回復せず、すでにviabilityを失っていたと思われた。症例3:5か月男児、7.0kg。完全内臓逆位、TGA(I)(Shaher 2a)。生後7日にJatene手術を施行。2か月時の定期外来時に心機能低下を認め、緊急カテーテル検査でLCA相当起始部での狭窄を認めた。症例2の経験から、翌週に冠動脈入口部形成(無名静脈パッチ)を行った。一旦心機能は改善したが、術後3か月で同部位の再狭窄による心機能低下をきたし、CABG(RITA-LAD相当)を施行した。術後1年のカテーテル検査でグラフトは開存、心機能は改善。現在術後1.5年、経過良好。【結語】乳児期であってもCABGは施行可能であり、開存も得られていた。しかし、時期を逸すると心機能は回復しないため、可及的早期の手術介入が望ましいと考えられた。