第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

機能的単心室/形態と予後

一般口演(II-OR22)
機能的単心室/形態と予後

2023年7月7日(金) 14:50 〜 15:50 第7会場 (G314+315)

座長:安藤 誠(金沢医科大学), 座長:石丸 和彦(愛媛大学大学院 医学系研究科心臓血管・呼吸器外科学)

[II-OR22-03] 無脾症候群のFontan到達率及び生存率に影響を及ぼす心大血管構造の解剖学的特徴と手術因子の検討

小坂井 基史, 村山 弘臣, 岡田 典隆, 野田 美香 (あいち小児保健医療総合センター 心臓血管外科)

キーワード:無脾症候群, フォンタン手術, 単心室症

【緒言】無脾症候群は、解剖学的多様性と手術治療の困難さから Fontan到達率、生存率が他疾患と比較して低く、さらなる改善が望まれる。【目的】無脾症候群の予後を左右する解剖学的特徴ならびに手術因子を検討する。【方法】2004年10月から 2023年 2月に手術を施行した無脾症候群 33症例、計104手術を調査した。【結果】患者特性は、早産 9.1%、低出生体重 27.3%であった。心大血管構造は、大静脈結合:bilateral SVC 54.6%、apico-caval juxtaposition 42.4%、心房心室結合:房室中隔欠損 48.5%、僧帽弁閉鎖 21.2%、房室弁形態:共通房室弁 60.6%、三尖弁 24.2%、主心室:右 81.8%、心室大血管結合:DORV 87.9%、ほか肺動脈閉鎖 39.4%、TAPVC 69.7%(うち心外型 60.9%)、体心室流出路狭窄 6.1%であった。手術特性は、初回姑息術:体肺動脈短絡術 51.5%、肺動脈絞扼術 21.2%、両側両方向性グレン手術 12.1%、両方向性グレン手術 6.1%、両側肺動脈絞扼術 6.1%、初回姑息術時にTAPVC手術併施 15.6%、TAPVC手術 48.5%、房室弁手術 45.5%、総手術数中央値 3回(1- 6回)であった。Fontan到達 21例、5年累積到達率 71.0%であった。左下大静脈、肝静脈分離還流、主心室左室、肺動脈閉鎖、心外型 TAPVC、初回姑息術時に TAPVC手術併施、肺動脈閉鎖と TAPVCの併存で、到達率が低い傾向にあった。死亡 8例、10年生存率 73.2%であった。早産、apico-caval juxtaposition、体心室流出路狭窄、グレンもしくはTCPC到達なしが有意なリスクであった。少数での検討だが、初回姑息術前に重症房室弁逆流を認めた症例の生存率ならびに Fontan到達率は極めて悪かった。【結語】全体でのFontan到達率、生存率は良好であったが、肺動脈閉鎖+ TAPVCや重症房室弁逆流を伴う症例の予後は未だ不良であった。