[II-P05-1-02] 小児患児の左心室ペーシングによる収縮能低下を伴う心不全に対し、CRT植え込みが有効であった1例
キーワード:先天性房室ブロック, CRT-P適応評価, 心外膜リード
【はじめに】先天性房室ブロック (CCAVB)によるペースメーカ(PM)植込み患児に対し、事前にEPSにてリード至適留置部位の評価、BiVpでの心機能評価を行い、CRT植込みが有効であった1例を経験したので報告する。【症例・経過】CRT施行時3歳女児。胎児期に完全房室ブロックと診断 (母体:抗SS-A抗体陽性)、2歳時PM (DDD)植え込み (左室側壁へ心筋リード縫着)を実施。植込み後1年で心拡大 (CTR 73%),BNP 174 pg/ml,LVEF 23%を認め、左室ペーシング(LVp)依存による左室収縮能低下と診断した。CRT適応評価目的に心臓カテーテル検査+EPSを施行。右室へ電極カテーテルを挿入し、既存PMによるLVpを利用した。LVp中の右室心尖部自由壁 (RVa)で最遅延部位(q-RV 162ms)を確認。最遅延部位であるRVaとLVpでBiVpとし、CRT studyを施行した。 LVp,BiVpのQRS幅は194 ms, 120 ms、LV dp/dt は546, 620とBiVpが有効と判断。後日CRT-P植込み術を施行し、心外膜リードをRVaに縫着。 CRT-P植込み後5ヶ月で評価カテを施行し、至適AV delayとVV delayの調整をした。現在QRS幅 121ms、BNP 15.6 pg/ml、LVEF 65%、CTR 54%と改善し、心不全入院もなく経過している。【考察】心内電極と心外膜リード留置によるペーシング位置の違いはあるものの、小児に対して明確なCRT適応基準がない中で術前の評価は、CRT導入を検討する上での一つの選択肢となる。今後も継続した心エコー、心電図を用いた設定の至適化が重要と考える。