[II-P05-1-05] 小児用補助人工心臓Berlin Heart EXCOR®装着患児に対する就学支援—院内学級へ登校するための取り組み—
キーワード:EXCOR®, 就学支援, 発達支援
【背景】据え置き型小児用補助人工心臓Berlin Heart EXCOR®(以下EXCOR)の装着期間は乳児期から学童期と様々であり、年齢相応の発達が課題である。そのため、同年代の子どもや家族、医療スタッフ以外と関わる時間を設け、患児は移植待機期間中も可能な限り社会生活を送ることが重要となる。【目的】EXCOR装着患児が安全に院内学級へ登校出来る体制を確立し、発達課題の達成を促進する。【取り組みの実際】EXCOR装着後より、患児に対して安全管理や感染予防行動についての指導を開始していたが、患児はそれらの必要性を理解はしているものの適切に行動出来ないことが多かった。安全に就学支援を進めるため、就学1年前より、日々実施している多職種カンファレンスの中で、看護師、医師、臨床工学技士、チャイルドライフスペシャリスト(以下CLS)、薬剤師で院内学級登校に向けた調整を開始した。具体的には登校を可能とする身体的条件の検討、教室の環境整備、登校日のスケジュール調整及び院内学級教諭や他患児への情報提供を行った。その過程で教諭から不安の声が聞かれたため、看護師より患児とEXCORに関する説明を重ねた。また、CLSの協力のもと患児の自己紹介VTRを作成し、本人から他患児へ向けて発表した。【結果】EXCOR装着患児が安全に院内学級へ登校できる体制を確立できた。登校時間は15分の朝の会から始め、最長で週1回2時間登校でき、患児の全身状態の変化や機器の異常もなかった。以前と比較し、入学後は自己管理を適切に出来るようになった。【考察】多職種の意見を反映しながら調整することで、患児が院内学級へ安全に登校できる体制を確立することが出来た。また他患児との交流の中で客観的に自身の在り方をみることが、行動変容へのきっかけとなり、集団や社会のルールを守るという学童期に重要である規範意識の形成や自律性の獲得という発達課題達成の促進に繋がったと考える。