[II-P05-2-04] 小児期および成人期部分肺静脈還流異常症に対する手術成績
キーワード:部分肺静脈還流異常症, 外科治療, 術後合併症
【背景】部分肺静脈還流異常症(PAPVC)は心房中隔欠損症と同様に小児期から成人期まで認める先天性心疾患である。今回当科で施行した小児期および成人期のPAPVCに対する治療法と術後の問題点を検討した。【方法】2004年から2022年にPAPVC手術を施行した19例を対象とした(小児期8例、成人期11例)。小児期症例の年齢中央値5.5歳(1-7歳)、成人期症例51歳(27-80歳)であった。合併手術は小児期症例では肺動脈狭窄症手術2例、成人期症例では弁膜症手術4例、不整脈手術2例であった。上大静脈(SVC)還流型13例(小児期7例、成人期6例)、右房(RA)還流型4例(小児期1例、成人期3例)、無名静脈還流型2例(小児期0例、成人期2例)であった。SVC還流型への手術はone-patch法6例、two-patch法2例、Warden変法4例、Double decker法1例であった。RA還流型は右房内トンネル作成、無名静脈還流型は左心耳への吻合術(直接吻合1例、人工血管1例)が行われた。【結果】術後早期死亡はなかった。one-patch法とDouble decker法で静脈路狭窄は認めなかった。two-patch法は2例ともにSVC狭窄を認め、成人期症例1例で人工血管再建の再手術が必要だった。Warden変法はSVC-RA再建の前壁とSVC近位端に新鮮自己心膜パッチを行ったが、SVC狭窄を3例認め、内小児期症例1例でバルーン拡大術が行われた。また肺静脈狭窄を1例認めた。RA還流型、無名静脈還流型は合併症なく経過した。不整脈はWarden変法を施行した1例で一過性の洞機能障害を認めた。【結語】直接縫合による静脈路狭窄を回避するための新鮮自己心膜パッチが退縮し静脈路狭窄をきたした。これまでtwo-patch法やWarden変法を選択していたSVC高位に還流するPAPVCでは積極的にDouble decker法を行っていきたい。