[II-P06-2-02] 当院における血管輪の外科治療成績について
Keywords:血管輪, 外科手術, 呼吸不全
【背景】血管輪では、重複大動脈弓や右大動脈弓および左鎖骨下動脈起始異常、動脈管索等による気道・食道の圧排から、呼吸不全や嚥下障害を来たす。気道圧排のある症例では、血管輪修復術後も圧排所見が残存する症例が散見され、術後に呼吸補助を要する。【方法】2006年2月から2022年12月に当院で血管輪に対する手術を施行された30例について、術前後の症状の有無、呼吸補助等を後方視的に検討した。【結果】対象30例(男児21例、女児9例)、血管輪に対する手術施行時年齢は中央値5.5カ月(日齢12日-31歳)、体重は中央値7.3kg(3.3-63.5kg)である。経過観察期間は中央値370日(10-5397日)。血管輪の形態は重複大動脈弓11例、右大動脈弓と左鎖骨下動脈起始異常、動脈管索やKommerell憩室15例、肺動脈スリング4例であった。術前有症状の症例は24例(呼吸症状20例、消化器症状5例)であり、術前挿管管理1例、CPAP装着4例であった。手術術式は左大動脈弓離断10例、右大動脈弓離断1例、動脈管索離断14例(うち左総頸動脈-左鎖骨下動脈吻合3例)、肺動脈sling解除4例、左鎖骨下動脈離断1例。気管圧排の解除目的にAortopexyを4例で併施され、気管圧排所見の残存に対して術後再介入を気管外ステント術2例、憩室切除術1例で行った。術後はMRSA菌血症による院内死亡1例を除いた29例で抜管(術後平均1.3±2.52日)が可能であった。1例で気管圧排に伴う再挿管を認め、その後に気管外ステント術を施行された。また11例で抜管後CPAPやNHF等の呼吸補助を要したが、術後当院フォロー8例では、中央値11日後(2日-6か月後)に日中呼吸補助からの離脱が可能であった。また術後呼吸補助を要するリスク因子として術前呼吸補助装着や術後再介入、乳び胸合併、手術時生後6か月以下はリスク因子とならなかった。【考察】当院における血管輪への術後成績は概ね良好であった。術後呼吸補助を要した症例が散見されたが、術後半年以内で離脱可能であった。