[II-P06-3-01] 高度な狭窄性病変を伴った川崎病冠動脈瘤にPOBAを行った後10年の経過
キーワード:川崎病冠動脈瘤, 巨大瘤, POBA
【背景】高度な狭窄性病変を伴った川崎病冠動脈瘤(AN)の児への経皮的バルーン血管形成術(POBA)は、比較的経過が良いことが報告されているが、長期的な経過は不明である。【症例】症例は12歳女児、2歳時にSeg6:5.6mmのmANとproximal局所性狭窄(LS)の治療目的に紹介。99%LSとLAD領域への側副血行の存在から虚血ありと判断、IKAZUCHI 1.5mm 6atm, 2.0mm 6atmでPOBA施行、直後の造影は径1.5mmまで改善し、LSは消失した。その後、虚血イベントはなく、2歳6か月・5歳時のカテーテル検査で、25%程度のLSが残存、mANはSeg6:4.2mm、FFRは正常内で経過した。以後CTフォローを行い、明らかな再狭窄なくmANの形態も変化を認めなかった。12歳時のカテーテル検査で、LSは1.23mm(50%狭窄)であったが、Seg6-7ANは8.4×11.6mmと再拡張を認めた。造影剤のpoolingも確認されたが、虚血は証明できず、側副血行の発達も認めていない。【考察】川崎病による高度狭窄性病変に対するPOBA後早期に新規動脈瘤が出現することが報告されている。川崎病冠動脈病変は内・外弾性板の破壊による血管三層構造の破綻および慢性炎症を特徴としており、POBAによる高圧バルーン拡張の結果、容易に拡張圧が外膜測まで伝わり、新たな冠動脈瘤が惹起されると推測される。本症例は、6atmと低圧でPOBAを施行したが、狭窄病変の解除により還流圧が改善した影響も相まってか、POBA遠隔期にANの再拡張を認めたと考えられた。【まとめ】川崎病冠動脈瘤のPOBA治療は、長期的にLS・ANのフォローが必要である。