[II-P06-3-03] 川崎病急性期に異所性心房頻拍を発症し、冠動脈病変を合併した症例
キーワード:鹿児島, 日置, 吹上
【背景】川崎病急性期における不整脈は稀で、頻拍性不整脈の合併頻度は0.07%とされる。今回川崎病急性期に異所性心房頻拍を発症し、両側冠動脈病変を合併した症例を経験した。【症例】生後5か月男児。発熱3日目川崎病主要5症状のため入院した。体温38.9度、心拍数190/分、アルブミン2.8g/dL、ナトリウム132mEq/L、CRP12.0mg/dL、白血球17500/μL、好中球63%。初回心エコー図時に頻拍230/分(房室解離なし)を指摘。ATP投与で房室ブロックとなり異所性P波が顕在化したため心房頻拍と診断した。ランジオロール投与開始と共にIVIG不応予測スコア(群馬スコア6点)より高リスクと診断し、IVIG療法に加えて早期ステロイド併用療法を開始した。治療奏効し解熱・洞調律へ回復した。第7病日再発熱のため追加IVIGにより解熱したが心エコー図検査では左冠動脈瘤は3.8mm、Zスコア5.6SD、右冠動脈瘤は6.1mm、Zスコア10.4SDと両側冠動脈病変を合併した。経口アスピリンに加えてワーファリンによる抗血栓治療を開始した。生後7か月経時的心エコー図検査では左冠動脈瘤は3.3mm、Zスコア4.7SDと退縮傾向であったが、右冠動脈瘤は6.0mm、Zスコア10.1SDと不変であった。生後10か月選択的冠動脈造影検査では中等度の右冠動脈瘤(5.7mm、Zスコア 9.3SD)があり、抗血栓治療の継続、選択的冠動脈造影検査でのフォローアップを行うこととした。【考察】川崎病急性期に冠動脈炎のみならず広範な心炎の一臨床像として心房頻拍を合併したと考えられた。不整脈合併例では冠動脈瘤の合併リスクが高まると考えられ、より注意深い観察が必要である。