[II-P06-3-04] 発熱を認めず冠動脈瘤を来した不全型川崎病の1例
キーワード:不全型川崎病, 冠動脈瘤, 発熱なし
【背景】第26回川崎病全国調査における主要症状の出現割合についての集計では、発熱は99.5%と報告されており、ほぼ必発の症状とされる。今回は、発熱を認めず冠動脈瘤を来した症例を経験したので報告する。【症例】症例は1歳2ヶ月の男児。生後8か月で両目の充血、BCG接種部位の発赤を認めたため第8病日に当科へ紹介された。川崎病症状は2症状のみであり経過観察していたが、第16病日に手指の膜様落屑を認めたため再度当科を受診した。心臓超音波検査で冠動脈瘤(#1 3.9mm(Z=6.68), #5 3.3 mm(Z=4.96))を認め、不全型川崎病と診断した。抗血小板薬・抗凝固薬を導入し、心臓超音波検査でフォローしていた。1歳(発症3か月)で心臓カテーテル検査施行し冠動脈瘤は#1 2.1 mm(Z=2.12), #5 2.1mm(Z=1.33)と退縮していたため、抗凝固薬・抗血小板薬は中止して経過観察中である。【結語】川崎病は無治療の場合20-30%の割合で冠動脈病変を合併すると言われており早期診断が重要であるが、本症例のように発熱を認めない場合の早期診断は難しいことが多い。川崎病主要症状のうち4症状以下で発熱を認めなくても、BCG接種部位の発赤などの川崎病に特異的な所見がある場合は不全型川崎病の可能性を念頭に置いて積極的に冠動脈病変を検索するのが望ましい。