[II-P06-4-05] 心内修復術後に好酸球性胃腸炎を発症した心室中隔欠損症の一例
キーワード:好酸球性胃腸炎, 先天性心疾患, 便中EDN
【緒言】先天性心疾患と壊死性腸炎の関連性の報告が散見され,腸管血流が低下する血行動態では壊死性腸炎の合併が多いとされる.新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症との関連も報告され,加水分解乳などの栄養管理を要する症例もしばしば経験する.しかしながら,周術期における好酸球性胃腸炎の報告は少ない.各々臨床症状は類似し,正確な病態把握・適切な診断が重要である.今回,術後亜急性期に血便を主訴に好酸球性胃腸炎の診断をし得た症例を経験した.【症例】在胎38週2日, 出生時体重 1669g(-3.5SD),Small for gestational age:SGA児のため,NICU管理した.心室中隔欠損,心房中隔欠損,動脈管開存症(patent ductus arteriosus:PDA)と診断.症候性PDAに対して日齢24に結紮術を施行した.心筋性状から心筋緻密化障害を疑い,ACE阻害剤・βブロッカーを併用した.徐々に肺動脈弁狭窄が進行し,安定した血行動態で推移した.体重増加不良・粗大運動発達遅延のため成長を待ち,1歳6ヶ月(体重6.0 kg)で心内修復術を施行した.術後2週から血便を認めたが,貧血の進行は軽度で経過観察した.以後も間欠的血便が遷延した.好酸球増多(2152/μL),CRP 0.04 mg/dL, IgE 3 IU/mL. 便中Eosinophil-Derived Neurotoxin:EDN 59000 ng/mLと高値.上下部内視鏡検査で,食道は肉眼異常なし,上行〜横行結腸に発赤・びらんを認め,粘膜に高度好酸球浸潤あり,好酸球性胃腸炎と診断した.人工乳除去により血便の改善および好酸球数・便中EDNも改善を得た.【結語】新生児期先天性心疾患においては,壊死性腸炎や新生児・乳児食物蛋白誘発性胃腸炎の発症リスクとされる.好酸球性胃腸炎の場合は,抗原の除去,場合によってはステロイドを要することがある.乳児期以降であっても,人工心肺を用いた手術においては腸管粘膜への負荷が懸念される.周術期に血便などの消化管症状を認めた場合は,便中EDN・内視鏡が病態の診断に有用である.