[II-P07-2-02] 左肺動脈欠損への消退動脈管を介して経皮的血行再建術を行なった1例
Keywords:左肺動脈欠損, 肺動脈リハビリテーション, 肺高血圧
【症例】5歳女児。多関節型若年性関節リウマチの診断でメトトレキセート、NASIDs、アダリムマブで加療中であった。発熱精査時の胸部X線で左肺低形成を指摘され、心エコー図および造影CT検査で左肺動脈欠損、右大動脈弓と診断した。反復呼吸器感染症や喀血はなかった。心臓カテーテル検査で右肺動脈圧21/6(13)mmHgであった。選択的左鎖骨下動脈造影により左鎖骨下動脈起始部に動脈管由来の憩室が確認されたため、同部位から動脈管にステント(Palmaz GenesisTM 5mm)を2本直列に留置し経皮的左肺動脈血行再建術を実施した。8歳と10歳時にステント内狭窄に対してPTAバルーン拡張術を実施した。左肺動脈主幹部径は3.3(5歳)→8.0mm(10歳)へ成長し、左肺動脈圧は109/71(85)mmHg(5歳)→86/56(73)mmHg(6歳)→85/45(20)mmHg(8歳)→54/40(46)mmHg(10歳)と緩徐に低下したものの、最終の肺血管抵抗係数57Wood単位・m2であった(心臓MRI併用)。経過中、右肺動脈圧に変化はなかった。【考察】経皮的左肺動脈血行再建術後5年間の経過で左肺動脈成長を得たものの左肺循環確立には十分とは言えなかった。肺動脈形成術(主肺動脈・左肺動脈吻合)の適応は今後検討すべき課題である。また、左肺動脈血流を維持することで側副路発達予防、将来的な喀血を予防できると考え、右肺高血圧に注意しながら定期的に左動脈管ステント内血流を評価、必要に応じてステント内拡張術を行うことも選択肢である。