[II-P07-2-03] カテーテル治療の必要な心房中隔欠損症における出生体重の血行動態に対する影響
Keywords:心房中隔欠損症, カテーテル治療, 出生体重
<背景>心房中隔欠損症(ASD)は、未熟児に発生することが多く、肺高血圧症の合併も多いとされる。本研究の目的は、カテーテル治療の必要なASDにおける出生体重の血行動態に対する影響を明らかにすることである。<方法>対象は2017年1月~2023年1月の期間に久留米大学病院でASDのカテーテル治療を受けた16歳未満の患者199例(女:男=117:82)である。診療録を元に、出生体重(BW)、出生週数(GA)、治療時年齢、体重、身長、欠損孔径、Qp/Qs、平均肺動脈圧(mPAP)、肺血管抵抗(PVRI)を調査し、BWやGAとの相関について検討した。さらに出生体重2.5kg未満の低出生体重児(LBW)と2.5kg以上の正常出生体重児(NBW)の2群に分けて比較検討した。<結果>199例中189例(94%)でBWとGAの情報が得られた。BWやGAと治療時年齢や体格に有意な相関は認めなかったが、BWはmPAP(r=-0.17, p=0.02)とPVRI( r=-0.18, p=0.01)、GAはPVRIと有意な負の相関を認めた(r=-0.23, p=0.001)。44例(23%)がLBWであった。LBWとNBWの比較では治療時年齢(8.1 ± 4.0 vs. 7.9 ± 3.6, ns)、体格(体重25.7 ± 13.4 vs. 27.3 ± 14.3kg, ns; 身長 120 ± 25 vs. 123 ± 23cm, ns)に有意差は無かった。欠損孔径はNBWで小さい傾向がある(12.6 ± 4.5 vs. 14.1 ± 4.8mm, p=0.06)一方で、mPAP(18 ± 4 vs. 17 ± 3, p=0.02)は有意に高かった。Qp/Qs(2.3 ± 1.0 vs. 2.4 ± 0.9,)とPVRI(1.4 ± 0.5 vs. 1.3 ± 0.5 Wood・U)に有意差は無かった。mPAP 25mmHg以上の肺高血圧症合併はそれぞれ3例ずつ(6.8% vs. 2.1%, ns)であった。<結語>出生体重や出生週数は小児期心房中隔欠損の血行動態に影響する。さらにデータを集積し、これらの所見の臨床的な意義について検討する。