[II-P07-3-06] 当院における先天性心疾患術後のリンパ疾患に対する診療科横断的取り組み
Keywords:術後合併症, リンパ疾患, リンパ管造影
【背景】先天性心疾患術後の蛋白漏出性胃腸症(PLE)や鋳型気管支炎(PB)は確立した治療法がなく、管理に難渋することが多い。当院における先天性心疾患術後のリンパ疾患に対する診療科横断的な取り組みを報告する。【症例1】11歳男児。診断は左心低形成症候群。ノーウッド手術、両方向性グレン手術を経て4歳時にフォンタン手術を施行。術後に乳糜胸があり遷延したが改善。術後2年でPBを発症、気管切開術を施行し鋳型排痰を行うも無気肺で年3〜4回入院し、時に呼吸器内科へ協力を依頼し気管支鏡での鋳型の摘除を要したため放射線科医にリンパ管造影を依頼。両鼠径リンパ節からリピオドールを4ml注入、胸管への流入を認めたが、漏出部位の同定は困難だった。術後CTで上縦隔や左側鎖骨下〜腋窩を中心にリピオドールの沈着を認めた。術後、入院回数は著明に減少した。【症例2】39歳男性。3歳時に心房中隔欠損症に対して手術、術後に乳糜胸の治療歴あり。35歳時に貧血、低蛋白血症を指摘され消化器内科にてアルブミンシンチ、上部消化管内視鏡検査を行い、PLE、十二指腸リンパ管拡張症と診断。放射線科医によるリンパ管造影を施行した。両鼠径リンパ節からリピオドールを14ml注入、胸管への流入は認めたが、漏出部位の同定は困難だった。術後C Tで肝表面・横隔膜下を中心にリピオドールの沈着を認め胸部リンパ管流障害に伴う腹部リンパへの逆流が示唆された。治療後も低蛋白血症の改善はなく対症療法を継続中である。【考察・結語】先天性心疾患術後のリンパ疾患に対する定まった治療指針はなく管理方針決定に難渋するケースも多い。当院では多診療科での管理を行い最適な治療選択を模索している。