[II-P07-3-07] 肺動脈弁狭窄に対してPTPV施行後右室流出路再建を行った4例の検討
Keywords:経皮的肺動脈弁形成術, 右室流出路狭窄, 右室流出路再建
【背景】純型肺動脈閉鎖/重症肺動脈狭窄に対する経皮的肺動脈弁形成術(PTPV)の遠隔期外科的介入についての報告は少ない。今回はPTPV後に右室流出路再建を行った症例を検証した。【対象】当施設で2017年7月から2022年7月までに行った肺動脈弁狭窄に対してPTPVを行った17症例に対して、その後外科的に右室流出路再建を行った4例を対象とした。【結果】患児の疾患は両大血管右室起始1例、肺動脈弁狭窄2例、肺動脈閉鎖1例であった。PTPV施行時の日齢中央値37日(4~222日)であり、体重中央値は3.25㎏(3.00~5.80kg)であった。PTPV前のP弁の収縮期最高速度(PFV)中央値は4.47m/s(0~4.7m/s)PTPV後のPFV中央値は3.40m/s(2.49~4.28m/s)であった。PTPVから手術介入に至るまでの期間は平均中央値228日(69~1693日)であり体重中央値8.09kg(6.00~11.9kg)であった。全例手術死亡無く経過しており、右室流出路狭窄解除には山岸1弁つきパッチを用いた症例が2例、ゴアテックスシートを用いた自己作成弁が1例、肺動脈弁上をパッチ拡大した症例が1例であった。術後平均観察期間中央値は509日(215~1451日)であり、術後1ヶ月の心臓超音波検査では肺動脈弁のPFV中央値は1.7m/s(0.78~2.23m/s) でありTRは平均23.4mmHg(11.8~41mmHg)、術後6か月後では肺動脈弁狭窄は全例認められず肺動脈弁のPFV中央値は1.4m/s(0.4~1.7m/s)でありTRは平均23.9mmHg(15.2~35mmHg)であった。【結語】まずPTPVを行う事で、出生直後に比較的侵襲の大きい人工心肺を用いた外科的介入を回避できた。PTPVだけでは治療が完遂しない重症例でも、手術時期を遅らせるという意味で有効な治療戦略である可能性が示唆された。肺動脈弁逆流に対する再介入など中長期的経過観察が必要である。