[II-P07-4-01] 新生児期早期に重度機能性僧帽弁逆流、遷延性肺高血圧を認めた2例
Keywords:僧帽弁逆流, 遷延性肺高血圧, ECMO
【背景】僧帽弁逆流(MR)は逆行性肺高血圧の原因となるが、新生児期早期に弁構造に異常を伴わない機能性MRが遷延性肺高血圧(PPHN)をもたらした報告は稀である。【症例1】在胎40週4日、3708g、仮死なく出生。日齢8に多呼吸、重度MRを認め当院紹介。エコーでは正常心構造、心収縮良好、重度MR、左房拡大、IVS扁平化を認め、動脈管は閉鎖、卵円孔は狭小化し左右方向。ミルリノン、酸素投与を開始しMR、PH所見は徐々に改善、日齢23にtrivial MR で退院。外来経過でMR悪化を認めず。【症例2】在胎39週1日、2678g、仮死なく出生。日齢1に中等度MR、多呼吸を認め気管挿管、ミルリノンを開始され日齢2に当院搬送。エコーでは正常心構造、心収縮良好、重度MR、左房拡大、IVS扁平化を認め、動脈管は細く、心房中隔は肥厚し卵円孔は狭小化。翌日PH、MR、左房拡大は改善していたため抜管したが呼吸障害で再挿管、MR・PHは再増悪。その後MRSA菌血症を契機に重度MR・PH、動脈管は開大化し両方向性、左房著名拡大、肺出血から呼吸循環破綻となり、日齢8にVA-ECMO装着、PDA ligationを要した。日齢14にECMO離脱、trivial-mild MRとなった。【考察】2症例ともMRは弁中央からで明らかな乳頭筋・腱索・弁尖異常を認めず、また弁への手術介入を要さず改善傾向となったことからも機能性MRの可能性が考えられた。胎児期の観察はできていないが、出生後の所見からは卵円孔早期狭小化による出生後の左室拡張能障害、動脈管閉鎖に伴う前負荷増大によるMR悪化が逆行性PHをもたらしたと推察された。【結語】新生児期早期の機能性MRはPPHNの原因となり、重篤な経過をたどる例も存在する。病態として胎児期卵円孔早期狭小化による左室拡張能障害が関連している可能性がある。