[II-P07-4-04] 二心室修復術後に残存する肺高血圧症の臨床像に関する検討:from Japan CHD-PH registry
キーワード:レジストリ, 術後残存肺高血圧, 先天性心疾患
【背景】二心室修復術(BVR)後に残存肺高血圧症(re-PH)を有する患者の臨床像は十分解明されていない。【目的・方法】Japan CHD-PH registryに登録された患者131名(2023年1月5日時点)の内、BVR可能な心形態を有し、術前に心臓カテーテル検査(CC)で肺高血圧症(PH)と診断され、BVR後にre-PHを有する患者15名(うち男4名)を対象に解析を行い、新たな知見を得ることを目的とした。【結果】心房中隔欠損8例、心室中隔欠損2例、MAPCA2例、Fallot四徴症、総動脈幹、完全房室中隔欠損各1例が含まれ、うち21trisomy4例、polysplenia2例であった。12例が薬物治療を、5例が在宅酸素療法を受けていた。PH診断、BVR、最終CC時期の中央年齢(範囲)はそれぞれ1.3歳(0.3-58.1)、1.8歳(0.3-58.6)、5.4歳(1.2-60.7)で、PHのフォロー期間中央値は2.6年だった。平均肺動脈圧(MPAP)および肺血管抵抗係数(Rp)の中央値(範囲)はPH診断時:MPAP=47 mmHg(17-95)、Rp=7.4 W.U・m2(1.6-32.1)、最終CC時:MPAP=22 mmHg (16-40 mmHg)、Rp=4.3 W.U・m2(1.4-11.8)で、MPAPとRpいずれも診断から最終CCの間に有意な低下を認めた(p<0.05)。一方、術前と術後のCCでRpを比較できた13例の内、4例で術後にRp上昇を認めた(術前中央値:3.4 W.U・m2、術後中央値:5.0 W.U・m2)。Rp上昇群4例は、Rp低下群9例と比較して女児やMAPCAの割合が多く(女児:100%vs55%、p=0.10、MAPCA:25%vs0%、p=0.10)、術前のMPAPとRpが低く(MPAP中央値:28.5vs50 mmHg、p=0.06、Rp中央値:3.4vs10.1 W.U・m2、p=0.07)、術前の肺体血流比が高い傾向が見られた(中央値:2.4vs1.2、p=0.09)。両群の染色体異常の有無や薬物治療、BVR時期に有意差は見られなかった。【考察・結論】術前のPHが重度でなくても肺体血流比が高いことが、BVR術後にPHが増悪するリスク因子になる可能性が示唆された。今後症例数が増えることで、re-PHの増悪因子をより詳細に解析できると考えられ、さらなる症例集積が望まれる。