[II-P07-4-05] 肺血管拡張薬を導入した新生児慢性肺疾患に伴う肺高血圧症の肺循環動態評価
Keywords:肺高血圧, 新生児慢性肺疾患, シルデナフィル
【背景】新生児慢性肺疾患に伴う肺高血圧症(CLD-PH)は早産児の予後決定因子であり、将来的な肺血管床発育不全や右室機能障害が示唆されている。CLD-PHに対して肺血管拡張薬が有用であるという報告があるが、管理・治療法は未確立である。【目的】肺血管拡張薬を導入したCLD-PH症例の肺循環動態評価を行う。【方法】2018年から2020年に出生した在胎28週未満の児で、CLD-PHに肺血管拡張薬(シルデナフィル)を導入した症例を診療録から後方視的に検討した。【結果】症例は7例(男4:女3)、在胎期間(中央値(範囲)以下同)は24(22-26)週、出生体重595(544-927)g、1例が動脈管開存症を合併した。NICU退院時にCLDに対して5例が在宅酸素療法、2例が在宅高流量鼻カニュラ酸素療法を導入した。NICU入院中の修正40週前後の心臓エコー検査で、Eccentricity index(EI) 1.26(1.0-1.37)、AcT/ET 0.25(0.16-0.29)であり、PHにシルデナフィルを開始した。心臓カテーテル検査前の心臓エコー検査では、EI 1.02(1.0-1.09)、AcT/ET 0.33(0.21-0.41)であった。6例が2歳時に心臓カテーテル検査を行い、平均肺動脈圧 19(13-22)mmHg、肺血管抵抗係数 2.53(1.76-2.72) wu/m2であった。PHを認めなかった3例は治療を終了した。全例でシルデナフィルに伴う有害事象はなく、気道感染に伴うPHの増悪や著明な呼吸状態の悪化はなかった。【考察】CLDを伴う超早産児では肺動脈圧や肺血管抵抗は高値であり、肺血管拡張薬の継続が必要な症例もあった。肺血管拡張薬による有害事象はなく、気道感染に伴う重症化もなかった。【結論】症例の病態に応じた肺血管拡張薬の適応判断や長期的な呼吸循環管理が重要である。今後もCLD-PHの治療戦略の構築のため、症例を集積して検討する必要がある。