[II-P07-4-09] ジアゾキシドによる薬剤性PHのASD症例
キーワード:先天性高インスリン血症, 薬物誘発性肺動脈性肺高血圧症, ジアゾキシド
【緒言】先天性高インスリン血症(CH)は、先天性のインスリン分泌過多による持続性低血糖症の総称である。CHIに対する治療は膵β細胞におけるKATPチャネル開放薬であるジアゾキシドが第一選択薬となっている。今回CHIに対するジアゾキシド内服中にPHを認め、その後薬剤中止のみで改善したことから、ジアゾキシドによる薬物誘発性肺動脈性肺高血圧症(薬剤性PH)と診断した、ASD合併の1例を経験したため報告する。【症例】4か月女児。低血糖症状(顔面紅潮、流涎、けいれん)で前医に救急搬送、血液検査でCHIと診断し高濃度糖液を開始した。ジアゾキシド内服により糖輸液離脱し退院。退院後ジアゾキシドは増量(12.5→15 mg/kg/日)。心エコーにてTRPG 50 mmHgでPHを疑い、1か月後の再診でTRPG72 mmHgに増悪しており、精査加療目的に入院した。【入院後経過】血液検査と腹部エコー、胸腹部造影CT、カテーテル検査を行い、その他のPHの原因となる所見は認めなかった。薬剤中止のみでPHは改善しジアゾキシドによる薬剤性PHと診断した。ソマトスタチン単剤では血糖コントロールができず、グルカゴンを併用した。しかし、糖輸液から離脱できないため、心房中隔欠損閉鎖術を行い、その後にジアゾキシドを再開した。【考察】ジアゾキシドによるPHは2015年にFDAからも警告がでている。ジアゾキシドを投与されたCHI患者の7%が投与28日以内にPHを発症するという報告もある。PHはジアゾキシドの減量では改善せず、中止したときのみ改善すると言われている。【結語】ジアゾキシドによるPH発症の報告は少ないが、重大な副作用である一方で評価されていない可能性があり、周知が必要である。ジアゾキシド使用の際は定期的なエコーが重要でPH発症時には薬剤を中止すべきである。